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問1

抗告訴訟に関し正しいのはどれ

1 裁判所は、処分又は裁決した行政庁以外の行政庁を訴訟に参加させることが必要であると認めるときは、当事者または当該行政庁の申立てを待たず、当該行政庁を職権で訴訟に参加させることができる

2 処分の取消の訴えにおいて、裁判所は職権で証拠調べをすることができるが、その対象は、訴訟要件に関するものに限られ、本案に関するものは含まれない

3 取消訴訟の訴訟物は、処分の違法性一般であるから、取消訴訟を提起した原告は、自己の法律上の利益に関係ない違法についてもそれを理由として処分の取消を求めることが出来る

4 裁判所は、処分の取消の訴えにおいて、当該処分が違法であっても、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償または防止の程度および方法その他一切の事情を考慮した上、当該訴えを却下することが出来る

5 行政庁に対して一定の処分を求める申請を拒否された者が、処分の義務付けの訴えを提起する場合、重大な損害を避ける為緊急の必要があるときは、処分の義務付けの訴えのみを単独で提起することが出来る

1の正解はここ
1 裁判所は「当事者もしくは行政庁の申立により」または「職権で」決定をもってその行政庁を訴訟に参加させることができます。
2:裁判所は職権で証拠調べをできますが、その対象は訴訟要件に限定されていません。
3:取消訴訟は、自己の法律上の利益に関係ない違法を理由として求める事は出来ません
4:処分の取消の訴えで、違法であるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合は「棄却」することができます。「却下」ではありません
5:義務付けの訴えを提起する場合、取消訴訟または無効等確認訴訟を併合提起する必要があります。

問2

普通地方公共団体の議会に関し正しいのはどれ

1 議会は、長がこれを招集するほか、議長も、議会運営委員会の議決を経て、自ら臨時会を招集することができる

2 議員は法定数以上の議員により、長に対して臨時会の招集を請求することが出来るが、その場合における長の招集に関し、招集の時期などについて、地方自治法は特段の定めを置いていない

3 議会は、定例会および臨時会からなり、臨時会は必要がある場合において、付議すべき事件を長があらかじめ告示し、その事件に限り招集される

4 議員は、予算を除く議会の議決すべき事件につき、議会に議案を提出することができるが、条例の定めがあれば、1人の議員によってもこれを提出することが出来る

5 議会の運営に関する事項のうち、議員の請求による会議の開催、会議の公開については、議会の定める会議規則によるものとし、地方自治法は具体的な定めを置いていない

2の正解はここ
3
1:議会は長が招集します。議長は、議会運営委員会の議決を経て、「長に対し臨時会の招集を請求」できます
2:議員定数1/4以上の議員により、長に対し臨時会の招集を請求できます。この請求日から20日以内に、長は臨時会を招集しなければなりません
4:議員は、予算を除く議会の議決すべき事件につき、議案を提出できますが、議員定数1/12以上の賛成が必要です
5:会議の開催、会議の公開について定めがあります

問3

公の施設について誤りはどれ

1 公の施設とは、地方公共団体が設置する施設のうち、住民の福祉を増進する目的のためその利用に供する施設をいう

2 公の施設の設置およびその管理に関する事項は、条例により定めなければならない

3 普通地方公共団体は、当該普通地方公共団体が指定する法人その他の団体に、公の施設の管理を行わせることが出来るが、そのためには長の定める規則によらなければならない

4 普通地方公共団体は、公の施設の管理を行わせる法人その他の団体の指定をしようとするときは、あらかじめ当該地方公共団体の議会の議決を経なければならない

5 普通地方公共団体は、適当と認めるときは、当該普通地方公共団体が指定する法人その他の団体に、その管理する公の施設の利用に係る料金をその者の収入として収受させることができる

3の正解はここ
3
「長の定める規則」が誤り。指定管理者に管理を行わせるには「条例の定め」が必要です

問4

地方自治法が定める監査委員に関し正しいのはどれか

1 普通地方公共団体の常勤の職員は監査委員を兼務することが出来ない

2 普通地方公共団体の議会の議員は、条例に特に定めがない限り、当該普通地方公共団体の監査委員となることができない

3 監査委員は、普通地方公共団体の長が選任し、それについて議会の同意を得る必要はない

4 監査委員の定数は条例により、法律上定められている数以上に増加させることはできない

5 都道府県とは異なり、政令で定める市においては、常勤の監査委員を置く必要はない

4の正解はここ
1 常勤の職員と短時間勤務職員は監査委員を兼任できません。
2:条例で議員のうちから監査委員を選任しないことにできます。そのため、特に条例で定めがなくても議員は監査委員になることができます
3:長が選任しますが、議会の同意が必要となります
4:監査委員の定数は、都道府県および政令で定める市は4人、その他の市及び町村は2人となり、条例で定数を増加することができます
5:都道府県及び政令で定める市は、監査委員のうち1人を常勤としなければなりません。

問5

行政事件訴訟法10条は二つの「取消の理由の制限」を定めている。空欄にあてはまる語句を選べ

第一に、「取消訴訟においては【ア】に関係のない違法を理由として取消を求めることができない」。これは、訴えが仮に適法なものであったとしても、【ア】に関係ない違法を理由に取り消しを求める事は出来ない(そのような違法事由しか主張していない訴えについては【イ】が下されることになる)ことを規定するものと解されている。取消訴訟が(国民の権利利益の救済を目的とする)主観訴訟であることにかんがみ、主観訴訟における当然の制限を規定したものにすぎないとの評価がある反面、違法事由のなかにはそれが【ア】に関係するものかどうかが不明確な場合もあり、「【ア】に関係のない違法」を広く解すると、国民の権利利益の救済の障害となる場合もあるのではないかとの指摘もある。
第二に、「処分の取消の訴えとその処分についての【ウ】の取消しの訴えとを提起することが出来る場合には」、【ウ】の取消の訴えにおいては「【エ】を理由として取消を求めることが出来ない」これは【エ】は、処分取消訴訟において主張しなければならないという原則(原処分主義)を規定するものと解されている。

1 審査請求を棄却した裁決 2 処分を差し止める判決 3 訴えを却下する判決 4 処分の無効 5 処分取り消し裁決 6 処分の違法 7 法律上保護された利益 8 裁決の違法 9 不作為の違法 10 裁決の無効 11 自己の法律上の利益 12 審査請求を認容した裁決 13 処分により保護される利益
14 請求を認容する判決 15 処分を義務付ける判決 16 請求を棄却する判決 17 処分取消判決 18 法律上保護に値する利益 19 事情判決 20 裁判上保護されるべき利益

5の正解はここ
ア 11-自己の法律上の利益 イ 16-請求を棄却する判決 ウ 1-審査請求を棄却した裁決 エ 6-処分の違法

問6

国公立学校をめぐる行政法上の問題に関し、妥当な組み合わせはどれ

ア 公立高等専門学校の校長が学生に対し原級留置処分または退学処分を行うかどうかの判断は、校長の合理的な教育的裁量にゆだねられるべきものであり、裁判所がその処分の適否を審査するにあたっては、校長と同一の立場にたって当該処分をすべきであったかどうか等について判断し、その結果と当該処分とを比較してその適否、軽重等を論ずべきである

イ 公立中学校教員を同一市内の他の中学校に転任させる処分は、仮にそれが被処分者の法律上の地位に何ら不利益な変更を及ぼすものではないとしても、その名誉につき重大な損害が生じるおそれがある場合は、そのことを理由に当該処分の取消しを求める法律上の利益が認められる

ウ 公立学校の儀式的行事における教育公務員としての職務の遂行の在り方に関し校長が教職員に対して発した職務命令は、教職員個人の身分や勤務条件に係る権利義務に直接影響を及ぼすものではないから、抗告訴訟となる行政処分には当たらない

エ 国公立大学が専攻科修了の認定をしないことは、一般市民としての学生が国公立大学の利用を拒否することにほかならず、一般市民として有する公の施設を利用する権利を侵害するものであるから、専攻科修了の認定・不認定に関する争いは司法審査の対象となる

6の正解はここ
ウ・エが正しい
ア:校長の合理的な教育的裁量に委ねられるべきもので、裁判所が校長と同一の立場にたって~~~論ずべきものではない。となります。
イ:転任処分について、身分・俸給等に異動がなく、客観的にも実際的にも勤務場所や職務内容に不利益を伴うものでないときは、特段の事情がない限り転任処分の取消を求める訴えの利益を有しないとなります。また、名誉や信用が毀損されたならば、国家賠償法に基づく損害賠償請求によりその救済を求めるべきと判例があります。

問7

上水道に関し正しい組み合わせはどれ

ア 自然的条件において、取水源が貧困で現在の取水量を増加させることが困難である状況等があるとき、水道事業者としての市町村は、需要量が給水量を上回り水不足が生ずることのないように、もっぱら水の供給を保つという観点から水道水の需要の著しい増加を抑制するための施策をとることも、やむを得ない措置として許される

イ 行政指導として教育施設の充実に充てる為に事業主に対して寄付金の納付を求める事自体は、強制にわたるなど事業主の任意性を損なうことがない限り、違法ということはできないが、水道の給水契約の締結等の拒否を背景として、その遵守を余儀なくさせることは違法である

ウ 水道事業者である地方公共団体が、建築指導要綱に従わないことを理由に建築中のマンションの給水契約の拒否を行う事も、当該建築指導要綱を遵守させるために行政指導を継続する理由があるといった事情がある場合には、給水契約の拒否を行うについて水道法が定める「正当な理由」があるものとして適法なものとされる

エ 建築基準法に違反し、建築確認を受けずになされた増築部分につき、水道事業者である地方公共団体の職員が給水装置新設工事の申込書を返戻した場合、それが当該申し込みの受理を最終的に拒否する旨の意思表示をしたものではなく、同法違反の状態を是正し、建築確認を受けたうえで申し込みをするよう一応に勧告をしたものにすぎないものであったとしても、かかる措置は違法な拒否に当たる

7の正解はここ
ア・イが正しい
ウ:建築指導要綱に基づく行政指導に対する不協力は正当の理由にはあたらないため、給水契約を拒否できません
エ:違法状態の建築物に関し、適法な建築確認を受けてから再度申請するよう勧告するのは違法な拒否ではないです。

問8

行政代執行法に関し正しい組み合わせはどれ

ア 代執行に要した費用については、義務者に対して納付命令を発出したのち、これが納付されない時は国税滞納処分の例によりこれを徴収することができる

イ 代執行を行うにあたって原則、同法所定の戒告および通知を行わなければならないが、これらの行為によって、義務者が審査請求を行うことができる旨の規定は、同法には特に置かれていない

ウ 行政上の義務の履行確保に関しては、同法の定めるところによるとして上で、代執行の対象とならない義務の履行確保については、執行罰、直接強制、その他民事執行の例により相当な手段をとることができる旨の規定が置かれている

エ 代執行の実施に先立って行われる戒告及び通知のうち、戒告において、当該義務が不履行であることが、次いで通知においては、相当の履行期間を定め、その期限までに履行がなされないときは代執行をなすべき旨がそれぞれ義務者に示される

オ 代執行の実施に当たっては、その対象となる義務の履行を督促する督促状を発した日から起算して法定の期間を経過してもなお、義務者において当該義務の履行がなされないときは、行政庁は、戒告等、同法の定める代執行の手続を開始しなければならない

8の正解はここ
ア・イが正しい
ウ:行政上の義務の履行確保に関しては代執行の規定のみが置かれ、他の規定はありません
エ:戒告は、相当の期間を定め、その期限までに義務が履行されないときは代執行をなすべき旨が示され、通知は代執行令書で「代執行をなすべき時期・代執行の為に派遣する執行責任者氏名および代執行に要する概算見積額」が示されます。
オ:このような規定はなく、また、代執行手続きの開始は任意であり、義務ではないです。

問9

行政上の法律関係に関し妥当なものはどれ

1 公営住宅の使用関係については、一般法である民法および借家法が、特別法である公営住宅法およびこれに基づく条例に優先して適用されることから、その契約関係を規律するについては、信頼関係の法理の適用があるものと解すべきである

2 食品衛生法に基づく食肉販売の営業許可は、当該営業に関する一般的禁止を個別に解除する処分であり、同許可を受けない者は、売買契約の締結も含め、当該営業を行う事が禁止された状態にあるから、その者が行った食肉の買入契約は当然に無効である

3 租税滞納処分は、国家が公権力を発動して財産所有者の意思いかんにかかわらず一方的に処分の効果を発生させる行為であるという点で、自作農創設特別措置法所定の農地買収処分に類似するものであるから、物権変動の対抗要件に関する民法の規定の適用はない

4 建築基準法において、防火地域または準防火地域内にある建築物で外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設ける事ができるとされているところ、この規定が適用される場合、建物を築造するには、境界線から一定以上の距離を保たなければならないとする民法の規定は適用されない

5 公営住宅を使用する権利は、入居者本人にのみ認められた一身専属の権利であるが、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で住宅を賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与するという公営住宅法の目的にかんがみ、入居者が死亡した場合、その同居の相続人がその使用権を当然に承継することが認められる

9の正解はここ
4
1:公営住宅の使用関係について、公営住宅法およびこれに基づく条例が特別法としてあり、民法および借家法に優先して適用されます
2:食品衛生法は単なる取締法規にすぎないものと解するのが相当で、買受人が食肉販売の営業許可を受けていなくても買入契約の効力は否定されない。です
3:租税滞納処分において、国は民事訴訟法上の強制執行における差押債権者の地位に類するもので、民法177条の適用があります
5:公営住宅法の規定の趣旨にかんがみれば、入居者が死亡した場合その相続人が当然に、その公営住宅を使用する権利を承継すると解する余地はない。とあります

問10

長期にわたる都市計画法上の建築制限に係る損失補償が請求された事件で空欄にあてはまる語句の組み合わせはどれ

私人の土地に対する都市計画は・・・に基づく建築制限が、それのみで直ちに憲法29条3項にいう私有財産を公の為に用いることにはならず、当然に同項にいう「正当な補償」を必要とするものではないことは、原審のいうとおりである。しかし「ア」を理由としてそのような制限が損失補償を伴うことなく認められるのは、あくまでもその制限が都市計画の実現を担保するために必要不可欠であり、かつ、権利者に無補償での制限を受忍させることに合理的な理由があることを前提としたうえでのことというべきであるから、そのような前提を欠く事態となった場合には、【イ】であることを理由に補償を拒むことは許されないものというべきである。そして、当該制限に対するこの意味での【ウ】を考えるにあたっては、制限の内容と同時に、制限の及ぶ期間が問題とされなければならいと考えられる

1 ア 公共の利益 イ 都市計画制限 ウ 受忍限度
2 ア 通常受ける損失に該当する事 イ 特別の犠牲 ウ 受忍限度
3 ア 通常受ける損失に該当する事 イ 特別の犠牲 ウ 補償の要否
4 ア 財産権の内在的制約 イ 特別の犠牲 ウ 補償の要否
5 ア 財産権の内在的制約 イ 都市計画制限 ウ 賠償請求権の成否

10の正解はここ
1
ア:公共の利益。 「私有財産は正当な補償の下に、これを公共のために用いる事ができる」です。
イ:都市計画制限
ウ:受忍限度

問11

行政処分の無効と取消しに関し正しいのはどれ

1 行政処分が無効である場合、当該処分はその成立当初から効力を認められないから、当該処分に対する取消訴訟を提起することはできない

2 行政処分が無効である場合、行政不服審査法が定める審査請求期間にかかわらず、当該行政処分の審査請求をすることができる

3 行政処分の職権取消は、当該処分に対する相手方等の信頼を保護する見地から、取消訴訟の出訴期間内に行わなければならない

4 行政処分が職権により取り消された場合、取消の対象となった処分の効力は消滅するので、これを争う相手方は、当該処分の有効確認の訴えを提起しなければならない

5 行政処分の違法を理由として国家賠償を請求する為には、その取り消し又は無効確認の確定判決をあらかじめ得ておく必要はない

11の正解はここ
5
1:行政処分に重大かつ明白な瑕疵がある場合は、当該処分は無効となるので成立当初から効力は認められないです。ただ、瑕疵が重大かつ明白かどうかは判断が難しいので、行政処分が無効でも取消訴訟の出訴期間内なら提起できます。
2:行政処分が無効である場合も、審査請求期間内に審査請求をすることになります。
3:職権取消は、出訴期間経過後でも可能です。出訴期間を経過すると、処分の相手方や利害関係人が効力を争えなくなります
4:職権取消は行政庁の処分となるため、争うには当該処分を職権により取消した処分の取消訴訟を提起します。

問12

行政手続法の定める申請に対する処分及び不利益処分に関する記述で正しいのはどれ

1 行政手続法は、申請に対する処分の審査基準については、行政庁がこれを定めるよう努めるべきものとしているのに対し、不利益処分の処分基準については、行政庁がこれを定めなければならないものとしている

2 行政庁は、申請を拒否する処分をする場合は、申請者から求めがあったときに限り当該処分の理由を示すべきものとされているのに対し、不利益処分をする場合には、処分を行う際に名宛人に対して必ず当該処分の理由を示すべきものとされている

3 行政庁は、申請を拒否する処分をする場合には、弁明の機会の付与の手続を執らなければならないのに対し、不利益処分をする場合には、聴聞の手続を執らなければならない

4 行政手続法は、申請に対する処分については、行政庁が標準処理期間を定めるよう努めるべきものとしているのに対し、不利益処分については、標準処理期間に関わる規定を設けていない

5 行政庁は、申請を拒否する処分をする場合には、公聴会を開催するよう努めるべきものとされているのに対し、不利益処分をする場合には、公聴会を開催しなければならないものとされている

12の正解はここ
4
1:申請に対する処分に関し、審査基準を定めなければならず、不利益処分に関し、処分基準を定めるよう努めなければならない。です
2:申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合、申請者に対し同時にその理由を示さなければなりません。また、不利益処分の場合、原則その名宛人に対し同時に理由を示すべきものとされています。
3:申請を拒否する処分をする場合意見陳述のための手続はいらないですが、不利益処分の場合は、不利益の程度に従い意見陳述の為の手続(聴聞または弁明の機会の付与)を執らなければならないです。
5:申請に対する処分において申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされている場合、必要に応じ公聴会の開催その他適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならないですが、不利益処分についてはこれらの規定は定められていません。

問13

法令に違反する行為の是正を求める行政指導を国の行政機関が担当する場合に関し、誤りはどれ

1 不利益処分を行う権限を有する行政機関は、法令違反を理由として不利益処分を行おうとする場合、その相手方に対し、緊急を要する場合を除き、あらかじめ行政指導を用いて法令違反行為の是正を求めなければならない

2 行政指導が既に文書により相手方に通知されている事項と同一内容の行政指導である場合、行政機関はその内容を記載した書面を求められても、これを交付する義務はない

3 同一の行政目的を実現する為に複数の者に対し行政指導をする場合、行政機関はあらかじめ当該行政指導の共通する内容を定め、行政上特別の支障がない限りそれを公表しなければならない

4 行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る)の相手方は、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て当該行政指導の中止を求めることが出来る

5 地方公共団体の機関が国の行政機関から委任を受けて行政指導を行う場合、行政手続法の定める行政指導手続に関する規定は、この行政指導の手続には適用されない

13の正解はここ
1
法令違反を理由として不利益処分を行おうとする場合、不利益の程度の区分に従い相手方に意見陳述の為の手続を執るものとされます。あらかじめ違反行為の是正を求める必要はありません。

問14

行政手続法の定める意見公募手続に関し正しいものはどれ

1 命令等制定機関は、他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等を定めようとするときであっても、内容が完全に同一でなければ、命令等を定めるにあたって意見公募手続を実施しなければならない

2 命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めるにあたり、意見提出期間内に当該命令等制定機関に対して提出された当該命令等の案についての意見について、整理又は要約することなくそのまま命令制定後に公示しなければならない

3 命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合において、委員会等の議を経て命令等を定める場合であって、当該委員会が意見公募手続に準じた手続きを実施した時には、改めて意見公募手続を実施する必要はない

4 行政庁が不利益処分をするかどうか、またはどのような不利益処分をするかについて、その法令の定めに従って判断する為に必要とされる処分基準を定めるにあたっては、意見公募手続を実施する必要はない

5 行政指導指針は、行政庁が任意に設定するものであり、また法的な拘束力を有するものではないため、行政指導指針を定めるにあたっては意見公募手続を実施する必要はない

14の正解はここ
3
1:他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等を定めようとするときは、意見公募手続は不要です。完全に同一である必要はありません
2:当該命令等の公布と同時期に公示しなければなりません。提出意見は必要に応じて整理又は要約したものを公示する事もできます。
4・5:意見公募手続をとらなければならない「命令等」は、内閣又は行政機関が定める法律に基づく命令または規則・審査基準・処分基準または行政指導指針のことです。

問15

地方公共団体の施策の変更に関する判例の一部で空欄に当てはまる語句を選べ

・・・【ア】の原則は地方公共団体の組織及び運営に関する基本原則であり、また、地方公共団体のような行政主体が一定内容の将来にわたって継続すべき施策を決定した場合でも、右施策が社会情勢の変動に伴って変更されることがあることはもとより当然であって、地方公共団体は原則として右決定に拘束されるものではない。しかし、右決定が、単に一定内容の継続的な施策を定めるにとどまらず、特定の者に対して右施策に適合する特定内容の活動をすることを促す個別的、具体的な勧告ないし勧誘を伴うものであり、かつ、その活動が相当長期にわたる当該施策の継続を前提としてはじめてこれに投入する資金又は労力に相応する効果を生じうる性質のものである場合には、右特定の者は、右施策が右活動の基盤として維持されるものと【イ】し、これを前提として右の活動ないしその準備活動に入るのが通常である。このような状況のもとでは、たとえ右勧告ないし勧誘に基づいてその者と当該地方公共団体との間に右施策の維持を内容とする契約が締結されたものとは認められない場合であっても、右のような密接な交渉を持つに至った当事者間の関係を規律すべき【ウ】の原則に照らし、その施策の変更にあたってはかかる【イ】に対して法的保護が与えられなければならないものというべきである。すなわち、右施策が変更されることにより、前記の勧告等に動機づけられて前記のような活動に入った者がその【イ】に反して所期の活動を妨げられ、社会観念上看過する事のできない程度の積極的損害を被る場合に、地方公共団体において右損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更する事は、それがやむを得ない客観的事情によるものでない限り、当事者間に形成された【イ】関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び、地方公共団体の【エ】責任を生ぜしめるものといわなければならない。そして、前記【ア】の原則も、地方公共団体が住民の意思に基づいて行動する場合にはその行動になんらの法的責任も伴わないということを意味するものではないから、地方公共団体の施策決定の基盤を成す政治情勢の変化をもって直ちに前記のやむをえない客観的事情にあたるものとし、前記のような相手方の【イ】を保護しないことが許されるものと解すべきではない

1 審議衡平 2 私的自治 3 公平 4 信頼 5 確約 6 契約
7 財産 8 債務不履行 9 不法行為 10 団体自治 11 平等
12 刑事 13 住民自治 14 比例 15 権利濫用禁止 16 過失
17 期待 18 継続 19 監督 20 措置

15の正解はここ
ア 13-住民自治 イ 4-信頼 ウ 1-信義衡平 エ 9-不法行為