耳で覚える! 行政書士 行政法3
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問1

行政行為(処分)に関する記述のうち妥当なものはどれ

1 処分に重大かつ明白な瑕疵があり、それが当然に無効とされる場合において、当該瑕疵が明白であるかどうかは当該処分の外形上客観的に誤認が一見看取し得るものであるがどうかにより決すべきである

2 行政庁の処分の効力の発生時期については特別の規定のない限り、その意思表示が相手方に到達した時ではなく、それが行政庁から相手方に向けて発信された時と解するのが相当である

3 課税処分における内容の過誤が課税要件の根幹にかかわる重大なものである場合であっても、当該瑕疵に明白性が認められなければ当該課税処分が当然に無効となる事はない

4 相手方に利益を付与する処分の撤回は、撤回の対象となる当該処分について法令上の根拠規定が定められていたとしても、撤回それ自体について別途、法令上の根拠規定が定められていなければ適法にすることはできない

5 旧自作農創設特別措置法に基づく農地買収計画の決定に対してなされた訴願を認容する裁決は、これを実質的に見ればその本質は法律上の訴訟を裁判するものであるが、それが処分である以上他の一般的な処分と同様、裁決庁自らの判断で取り消すことを妨げない

1の正解はここ
1 処分の外形上、客観的に誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決すべきとなります

2:意思表示は「相手方に到達した時」と解されます
3:課税処分の過誤が根幹にかかわる重大なものである場合、瑕疵に明白性が認められなくても無効になる事はあります
4:利益を付与する撤回は、相手が被る不利益を考慮してもなおそれを撤回すべき必要性が高いときは、法令上その撤回について直接明文がなくてもできるとしています
5:農地買収計画の決定に対する訴願を認容する裁決は、他の一般的な処分と異なり特別の規定がない限り裁決庁自らの判断で取り消すことはできないとしています

問2

普通地方公共団体が締結する契約に関し妥当なのはどれ

1 売買・賃借・請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約、せり売りのほか、条例で定める方法によっても締結することができる

2 売買・賃借・請負その他の契約を、指名競争入札、随意契約またはせり売りの方法により締結することができるのは政令が定める場合に該当するときに限られる

3 一般競争入札により契約を締結する場合において、政令の定めるところにより契約の目的に応じ予定価格の制限の範囲内で最高又は最低の価格をもって申し込みをしたものを契約の相手方とするものとされており、この点についての例外は認められていない

4 随意契約の手続に関し必要な事項は、当該普通地方公共団体が条例でこれを定める

5 契約を締結する場合に議会の議決を要するのは、種類および金額について政令で定める基準に従い条例で定めるものを締結する時であって、かつ指名競争入札による場合に限られる

2の正解はここ
2 指名競争入札・随意契約またはせり売りは政令で定める場合に該当するときに限りこれによることができます

1:売買・賃借・請負その他の契約は一般競争入札・指名競争入札・随意契約・せり売りにより締結するものとされます。「その他条例で定める方法」はありません
3:「例外が認められていない」が誤りで、例外が認められています
4:随意契約の手続に関し必要な事項は「政令」で定めます。「条例」ではありません
5:「指名競争入札に限る」わけではないので誤りです

問3

行政手続法の用語に関し正しいのはどれ

1 「不利益処分」とは申請により求められた許認可等を拒否する処分など、申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分の他、行政庁が法令に基づき特定の者を名あて人として直接にこれに義務を課し、またはその権利を制限する処分をいう

2「行政機関」には国の一定の機関及びその職員が含まれるが、地方公共団体の機関はこれに含まれない

3 「処分基準」とは不利益処分をするかどうか、またはどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断する為に必要とされる基準をいう

4 「申請」とは法令に基づき、申請者本人または申請者以外の第三者に対し何らかの利益を付与する処分を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう

5 「届出」とは行政庁に対し一定の事項の通知をする行為であって、当該行政庁にそれに対する諾否の応答が義務付けられているものをいう

3の正解はここ
3 処分基準とは不利益処分をするかどうか、またはどのような不利益処分とするかについて判断する為の基準です。

1:申請により求められた許認可等を拒否する処分などは不利益処分ではありません
2:地方公共団体の機関も行政機関です
4:申請とは「自己」に対し何らかの利益を付与する処分を求める行為で、行政庁が諾否の応答をすべきことことなっています。「第三者」に対して処分を求める行為ではないです
5:届出とは行政庁に対し、申請以外の、一定の事項の通知をする行為で、法律で直接に当該通知が義務付けられているものです。「諾否の応答」は義務付けられていません

問4

行政手続法の規定する聴聞と弁明の機会の付与に関し正しいのはどれ

1 聴聞・弁明の機会の付与のいずれの場合についても当事者は代理人を選任する事ができる

2 聴聞は許認可等の取消しの場合に行われる手続であり、弁明の機会の付与は許認可等の拒否処分の場合に行われる手続である

3 聴聞が口頭で行われるのに対し、弁明の機会の付与の手続は書面で行われるのが原則であるが、当事者から求めがあったときは口頭により弁明する機会を与えなければならない

4 聴聞・弁明の機会の付与のいずれの場合についても、当該処分について利害関係を有する者がこれに参加する事は認められていない

5 聴聞・弁明の機会の付与のいずれの場合についても当事者は処分の原因に関するすべての文書を閲覧する権利を有する

4の正解はここ
1 聴聞・弁明の機会の付与いずれの場合でも代理人を選任することが出来ます。

2:許認可等を取り消す不利益処分のときは聴聞を執りますが、許認可等の拒否処分は意見陳述の手続(聴聞・弁明の機会の付与)を執る必要はありません
3;行政庁が口頭ですることを認めた時以外は弁明書を提出しての弁明となります。当事者から求めがあっても口頭による弁明の機会をあたえなければならないとはありません
4:聴聞は利害関係を有するものが参加することが出来ますが、弁明の機会の付与では利害関係を有する者がさんかするのは認められません
5:聴聞の場合は「聴聞の通知があった時から聴聞が集結するまで間、当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料」の閲覧を求めることが出来ます。しかし弁明の機会の付与にはこの規定は準用されていません

問5

行政手続法の定める申請の取扱いに関し正しい組み合わせはどれ

ア 申請がそれをすることができる期間内にされたものではない場合、当該申請は当然に不適法なものであるから、行政庁はこれに対して諾否の応答を行わずその理由を示し、速やかに当該申請にかかる書類を申請者に返戻しなければならない

イ 許認可等を求める申請に必要な書類が添付されていない場合、行政庁は速やかに相当の期間を定めて当該申請の補正を求めるか、あるいは当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない

ウ 行政庁は、申請により求められた許認可等のうち行政手続法に列挙されたものについてこれを拒否する処分を行おうとするときは、予めその旨を申請者に対し通知し、当該申請者に弁明書の提出による意見陳述の機会を与えなければならない

エ 行政庁が申請の取り下げまたは内容の変更を求める行政指導を行う事は、申請者がそれに従う意思がない旨を表明したにもかかわらずこれを継続する事等により当該申請者の権利の行使を妨げるものでない限り、直ちに違法とされるものではない

オ 行政庁が申請の処理につき標準処理期間を設定し、これを公表した場合において、当該標準処理期間を経過してもなお申請に対し何らの処分がなされないときは、当該申請に対して拒否処分がなされたものとみなされる

1 ア・イ
2 ア・オ
3 イ・エ
4 ウ・エ
5 ウ・オ

5の正解はここ
3 イ・エ
ア:申請の形式上の要件に適合しない申請については、「速やかに申請をしたものに対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、または当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない」となります。
ウ:弁明書の提出による意見陳述の機会を与えなければならないのは「不利益処分をしようとする場合で聴聞が必要とされるとき以外」です。
オ:標準処理期間を設定し、これを経過しても処分がなされない場合でも、拒否処分がなされたものとみなされるという規定はないです

問6

行政不服審査法に関して正しい組み合わせはどれ

ア 審査請求の目的である処分に係る権利を譲り受けた者は、審査請求人の地位を継承することが出来るが、その場合審査庁の許可を得ることが必要である

イ 処分についての審査請求に関する審査請求期間については、処分があったことを知った日から起算するものと、処分があった日から起算するものの2つが定められているが、いずれについてもその初日が算入される

ウ 法令に違反する事実がある場合においてその是正のためにされるべき処分がなされない時は、当該行政庁の不作為について、当該処分をすることを求める審査請求をすることができる

エ 一定の利害関係人は、審理員の許可を得て参加人として当該審査請求に参加することが出来るが、参加人は審査請求人と同様に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えられ、証拠書類または証拠物を提出することが出来る

オ 多数人が共同して行った審査請求においては、法定数以内の総代を共同審査請求人により互選することが認められているが、その場合においても共同審査請求人各自が、総代を通じることなく単独で当該審査請求に関する一切の行為を行う事ができる 

6の正解はここ
ア・エが正しい
イ:処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3月と、処分があった日の翌日から起算して1年です。
ウ:「法令に違反する事実がある」場合は、行政庁の不作為について審査請求をすることができるとはありません。
オ:多数人が審査請求する場合は3人を超えない総代を互選できます。その場合総代を通じてのみ審査請求の一切の行為をできます

問7

再審査請求について定める行政不服審査法の規定に関して正しいのはどれ

1 法律に再審査請求をすることができる旨の定めがない場合であっても、処分庁の同意を得れば再審査請求をすることが認められる

2 審査請求の対象とされた原処分を適法として棄却した審査請求の原裁決があった場合に、当該審査請求の裁決に係る再審査請求において、原裁決は違法であるが原処分は違法でも不当でもない時は、再審査庁は裁決で当該再審査請求を棄却する

3 再審査請求をすることができる処分について行う再審査請求の請求先は行政不服審査会となる

4 再審査請求をすることができる処分について、審査請求の裁決が既になされている場合には、再審査請求は当該裁決を対象として行わなければならない

5 再審査請求の再審査請求期間は、原裁決があった日ではなく、原処分があった日を基準として算定する

7の正解はここ
2 原裁決(審査請求を却下または棄却したもの)が違法または不当であるが、審査請求に係る処分が違法でも不当でもない時は、再審査庁は裁決にて当該審査請求を棄却します

1:再審査請求は「法律に再審査請求することができる旨の定めがある場合」にできます。
3:再審査請求は原裁決または当該処分を対象として、再審査請求を認める法律に定める行政庁に対してされます。行政不服審査会というわけではありません
4:再審査請求は当該裁決(原裁決)だけでなく当該処分を対象にできます。
5:再審査請求は原裁決があったことを知った日の翌日から起算して1月、または原裁決があった日の翌日から起算して1年です。原処分ではなく原裁決があった日を基準としています

問8

不作為についての審査請求について正しい組み合わせはどれ

ア 不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合、審査庁は裁決で当該審査請求を棄却する

イ 不作為についての審査請求について理由がない場合には、審査庁は裁決で当該審査請求を棄却する

ウ 不作為についての審査請求について理由がある場合には、審査庁は裁決で当該不作為が違法または不当である旨を宣言する

エ 不作為についての審査請求について理由がある場合、不作為庁の上級行政庁でない審査庁は、当該不作為庁に対し当該処分をすべき旨を勧告しなければならない

1 ア・イ
2 ア・エ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ

8の正解はここ
3
「却下」は審理せずに退ける事。「棄却」は審理して退ける事です。
ア:審査請求が相当の時間を経過せずにされた場合、裁決で却下します。
エ:不作為庁の上級行政庁である審査庁が、不作為庁に対し処分すべき旨を命ずる措置をし、不作為庁である審査庁は当該処分をする措置をとります。

問9

狭義の訴えの利益に関して正しい組み合わせはどれ

ア 森林法に基づく保安林指定解除処分の取消しが求められた場合、水資源確保等のための代替施設の設置によって洪水や渇水の危険が解消され、その防止上からは当該保安林の存続の必要性がなくなったと認められるとしても、当該処分の取消しを求める訴えの利益は失われない

イ 土地改良法に基づく土地改良事業施行認可処分の取消しが求められた場合、当該事業の計画に係る改良工事及び換地処分が全て完了したため、当該認可処分に係る事業施行地域を当該施工以前の現状に回復する事が社会的、経済的損失の観点からみて、社会通念上不可能であるとしても、当該認可処分の取消を求める訴えの利益は失われない

ウ 建築基準法に基づく建築確認の取消しが求められた場合、当該建築確認に係る建築物の建築工事が完了した後でも当該建築確認の取消を求める訴えの利益は失われない

エ 都市計画法に基づく開発許可のうち、市街化調整区域内にある土地を開発区域とするものの取消が求められた場合、当該許可に係る開発工事が完了し、検査済証の交付がされた後でも当該許可の取り消しを求める訴えの利益は失われない

9の正解はここ
イ・エ
ア:代替施設の設置により保安林存続の必要性がなくなったと認められるときは訴えの利益は失われます。
ウ:建築確認は、工事前に、それを受けなければ工事をすることが出来ないという法的効果を付与させるものであるので、当該工事が完了したら訴えの利益は失われます
エ:開発許可は、それを受けなければ工事することが出来ないという法的効果を付与させるだけのものなので、工事完了すると効果は消滅します。その為開発工事が完了し、検査済証が交付されれば訴えの利益は失われます。ただし、「市街化区域」の場合であり、今回のように「市街化調整区域」の場合は失われません。

問10

行政事件訴訟法が定める出訴期間に関し正しいのはどれ

1 処分又は裁決の取消しの訴えは、処分又は裁決の日から6箇月を経過したときは提起することが出来ないが、正当な理由があるときはこの限りではない

2 処分につき審査請求をすることができる場合において審査請求があったときは、処分に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、これに対する裁決があったことを知った日から6箇月を経過した時は提起することが出来ないが正当な理由があるときはこの限りではない

3 不作為の違法確認の訴えは当該不作為に係る処分又は裁決の申請をした日から6箇月を経過した時は提起することが出来ないが、正当な理由がある時はこの限りではない

4 義務付けの訴えは処分又は裁決がされるべき事を知った日から6箇月を経過した時は提起する事は出来ないが、正当な理由があるときはこの限りではない

5 差し止めの訴えは処分又は裁決がされようとしていることを知った日から6箇月を経過したときは提起する事は出来ないが、正当な理由があるときはこの限りではない

10の正解はここ
2 処分につき審査請求ができる場合で取消訴訟の場合、裁決があったことを知った日から6箇月、又は裁決の日から1年を経過すると提起できませんが、正当な理由がある場合は除きます。

1:取消訴訟は、処分又は裁決の日から1年以内か、処分又は裁決を知った日から6箇月以内です。
3:不作為の違法確認の訴えは、不作為の状態が継続している限り訴訟提起できます。期間はありません
4:義務付けの訴えは、非申請型は出訴期間の制限はなく、申請型は、取消訴訟と併合要件が課される場合に取消訴訟の出訴期間制限を受けることがあります
5:差し止めの訴えは出訴期間の規定はありません。

問11

執行罰に関し妥当なものはどれ

1 執行罰とは、行政上の義務の不履行について罰金を科すことにより、義務の履行を促す制度であり、行政上の強制執行の一類型とされる

2 執行罰は、行政上の義務の履行確保のために課されるものであるが、行政機関の申立てにより、非訟事件手続法の定める手続きに従って裁判所の決定によって科される

3 執行罰は刑罰ではないため、二重処罰の禁止の原則の適用はなく、同一の義務の不履行について、これを複数回にわたり科すことも認められる

4 執行罰についてはそれを認める一般法は存在せず、これを認める個別の法令の定めが必要であるが、行政代執行法は、執行罰の規定を条例で定めることも明文で許容している

5 執行罰は多くの法令において、各種の届出義務などの軽微な手続上の義務への違反に科されることとされている

11の正解はここ
3
1:執行罰は、「過料を科す」(過料を予告)することで義務の履行を促す制度です。
2:執行罰は行政庁の権限です。非訟事件手続法の定めで裁判所の決定によるのは秩序罰です
4:執行罰を認める一般法は存在せず、これを認める個別の法令の定めが必要ですが、行政代執行法に執行罰の規定を条例で定める明文はないです
5:軽微な手続上の義務への違反に対し過料が科されるのは秩序罰としてになります。

問12

行政手続法の条文で空欄にあてはまる語句の組み合わせはどれ

第1条 この法律は、【ア】、行政指導及び【イ】に関する手続き並びに【ウ】等を定める手続きに関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における【エ】の確保と透明性の向上を図り、もって【オ】に資する事を目的とする

1 ア 行政行為 イ 届出 ウ 行政計画 エ 迅速性 オ 国民の権利利益の保護
2 ア 処分 イ 公証 ウ 行政契約 エ 効率性 オ 行政の適正な運営
3 ア 行政行為 イ 公証 ウ 命令 エ 公正 オ 国民の権利利益の保護
4 ア 行政行為 イ 通知 ウ 行政計画 エ 効率性 オ 行政の適正な運営
5 ア 処分 イ 届出 ウ 命令 エ 公正 オ 国民の権利利益の保護

12の正解はここ
5
「この法律は、処分、行政指導、および届出に関する手続き並びに命令等を定める手続きに関し共通する事項を定めることによって行政運営における公正の確保と透明性の向上を図りもって国民の権利利益の保護に資する事を目的とする」

問13

処分理由の提示に関し妥当なのはどれ

1 行政手続法が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接義務を課し、またはその権利を制限するという同処分の性質にかんがみたものであるから、行政手続法には、申請に対する拒否処分に関する理由の提示の定めはない

2 一級建築士免許取消処分をするに際し、行政庁が行政手続法に基づいて提示した理由が不十分であったとしても、行政手続法には理由の提示が不十分であった場合の処分の効果に関する規定は置かれてないから、その違法により裁判所は当該処分を取り消すことはできない

3 行政手続法は、不利益処分をする場合にはその名宛人に対し同時に当該不利益処分の理由を示さなければならないと定める一方、「当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合はこの限りではない」としている

4 青色申告について行政庁が行った更正処分における理由附記の不備という違法は、同処分に対する審査裁決において処分理由が明らかにされた場合には、治癒され更正処分の取消自由とはならない

5 情報公開条例に基づく公文書の非公開決定において、行政庁がその処分理由を通知している場合に、通知書に理由を附記した以上、行政庁が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張する事は許されない

13の正解はここ
3
1:不利益処分だけでなく、申請に対する拒否処分の場合も、同時にその理由を申請者に示さなければなりません
2:行政手続法に理由が不十分であった場合の処分の効果に関する規定がなくても、取消訴訟を提起でき、裁判所はその違法を理由として当該処分を取り消すことができます
4:理由附記の不備は、同処分に対する審査請求についての裁決において処分の理由が明らかにされた場合でも治癒されないです
5:非公開決定の取消訴訟において、非公開決定の時点で通知書に付記した処分理由以外の理由を主張するのは許されます

問14

行政手続法の定める聴聞に関し誤りはどれか。(調書は、聴聞の審理の経過を記載した書面であり、報告書は、不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した書面である)

1 聴聞の主宰者は、調書を作成し、当該調書において、不利益処分の原因となる事実に対する当事者および参加人の陳述の要旨を明らかにしておかなければならない

2 聴聞の主宰者は、聴聞の終結後速やかに報告書を作成し、調書と共に行政庁に提出しなければならない

3 聴聞の当事者または参加人は、聴聞の主宰者によって作成された調書および報告書の閲覧を求めることが出来る

4 聴聞の終結後、聴聞の主宰者から調書および報告書が提出されたときは、行政庁は、聴聞の再開を命ずる事は出来ない

5 行政庁は、不利益処分の決定をするときは、調書の内容および報告書に記載された聴聞の主宰者の意見を十分に参酌してこれをしなければならない

14の正解はここ
4
行政庁は、聴聞の終結後に生じた事情にかんがみ、必要があると認める時は主宰者に対し、聴聞の再開を命ずることが出来ます。

問15

行政不服審査法の定める審査請求の対象に関し正しいのはどれ

1 全ての行政庁の処分は、行政不服審査法または個別の法律に特別の定めがない限り、行政不服審査法に基づく審査請求の対象となる

2 地方公共団体の機関がする処分についての審査請求には、当該地方公共団体の定める行政不服審査条例が適用され、行政不服審査法は適用されない

3 地方公共団体は、自己に対する処分でその固有の資格において処分の相手方となるものに不服がある場合、行政不服審査法に基づく審査請求をした後でなければ当該処分の取消訴訟を提起することができない

4 行政指導の相手方は、当該行政指導が違法だと思料するときは、行政不服審査法に基づく審査請求によって当該行政指導の中止を求めることが出来る

5 個別の法律により再調査の請求の対象とされている処分は、行政不服審査法に基づく審査請求の対象とはならない

15の正解はここ
1
2:地方公共団体の機関がする処分を適用除外とする規定は置かれていません
3:地方公共団体に対する処分でその固有の資格において当該処分の相手方となるものは、行政不服審査法の適用除外となりますので、審査請求は出来ません
4:当該行政指導が違法だと思料する時に、その中止を求めることができる規定は置かれていません
5:個別の法律により再調査請求の対象とされている処分は、再調査の請求を行うか、審査庁に対する審査請求を行うかは自由に選択できます。

問16

行政事件訴訟法に関し正しいものはどれ

1 地方税法に基づく固定資産税の賦課処分の取消訴訟を提起することなく、過納金相当額の国家賠償請求訴訟を提起する事は、結果的に当該行政処分を取り消した場合と同様の経済的効果が得られることになるため認められない

2 供託法に基づく供託金の取戻請求権は、供託に伴い法律上当然に発生するものであり、一般の私法上の債権と同様、譲渡、質権設定、仮差押え等の目的とされるものであるから、その請求が供託官により却下された場合には、民事訴訟により行うべきである

3 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づく発電用原子炉の設置許可の無効を主張するものは、その運転差止めを求める民事訴訟を提起できるからといって、当該許可処分の無効確認訴訟を提起できないわけではない

4 国民年金法に基づく裁定の請求に対して年金支給をしない旨の決定が行われた場合、当該年金の裁定の請求者は、公法上の当事者訴訟によって、給付されるべき年金の請求を行うことができるが、年金支給をしない旨の決定の取消訴訟を提起する事は認められない

5 登録免許税を過大に納付した者は、そのことによって当然に還付請求権を取得し、その還付がなされないときは、還付金請求訴訟を提起することが出来るから、還付の請求に対してなされた拒否通知について取消訴訟を提起する事は認められない

16の正解はここ
3
1:当該行政処分が金銭を納付させることを目的としていて、その違法を理由とする国家賠償請求を認容したとすれば、結果的に当該行政処分を取り消した場合と同様の経済的効果が得られる場合であっても、国家賠償請求をするについて、あらかじめ取消や無効判決を得なければならないわけではないです
2:供託事務を取り扱うのは国家機関である供託官であり、供託物取戻請求却下処分に対しては不服申し立ての制度を設けていることなどから、供託官が却下した行為は行政処分であり、供託関係が民法上の寄託関係だからといって供託官の却下は民法の履行拒絶につぎないとは到底できず、取消訴訟を適法である。としますので、民事訴訟により争うべきとはいえないです
4:給付されるべき年金の請求を行った上で、必要があれば年金支給をしない旨の決定の取消訴訟を提起できます。
5:登録免許税法は、登記を受けたものに対し簡易迅速に還付できる手続きをできる地位を保障したものです。この請求に関する拒否通知は、上記の地位を否定する法的効果を有するものとして抗告訴訟の対象となるとしていますので、拒否通知について取消訴訟を提起できます。

問17

処分性に関する判例に照らし誤りはどれ

1 保育所の廃止のみを内容とする条例は、他に行政庁の処分を持つことなく、その施行により各保育所廃止の効果を発生させ、当該保育所に現に入所中の児童及びその保護者という限られた特定の者らに対して、直接当該保育所において保育を受ける事を期待し得る法的地位を奪う結果を生じさせるものであるから、その制定行為は、行政庁の処分と実質的に同視し得るものという事が出来る

2 建築基準法42条2項に基づく特定行政庁の告示により、同条1項の道路とみなされる道路の指定は、それが一括指定の方法でされた場合であっても、個別の土地についてその本来的な効果として具体的な私権制限を発生させるものであり、個人の権利義務に対して直接影響を与えるものということができる

3 旧医療法の規定に基づく病院開設中止の勧告は、医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待してされる行政指導として定められており、これに従わない場合でも、病院の開設後に、保健医療機関の指定を受けることが出来なくなる可能性が生じるにすぎないから、この勧告は、行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当らない

4 市町村の施行に係る土地区画整理事業計画の決定は、施工地区内の宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって、抗告訴訟の対象とするに足りる法的効果を有するものという事ができ、実効的な権利救済を図るという観点から見ても、これを対象とした抗告訴訟の提起を認めるのが合理的である

5 都市計画区域内において工業地域を指定する決定が告示されて生じる効果は、当該地域内の不特定多数の者に対する一般的抽象的な権利制限にすぎず、このような効果を生じるということだけから直ちに当該地域内の個人に対する具体的な権利侵害を伴う処分があったものとして、これに対する抗告訴訟の提起を認める事は出来ない

17の正解はここ
3
病院開設中止の勧告は、任意にこれに従うことを期待される行政指導として定められていますが、これに従わない場合は、病院を開設しても保健医療機関の指定を受けることが出来なくなるという結果をもたらし、国民皆保険制度のわが国において、健康保険を利用せずに受診するものはほんどいない為、保健医療機関の指定を受けずに診療行為を行う病院がほとんど存在しないのは公知の事実であるから、実際上病院の開設自体を断念せざるを得ないことになるため、この勧告は行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に当たるとしています

問18

A県内のB市立中学校に在籍する生徒Xは、A県が給与を負担する同校の教師Yによる監督が不十分でなかったため、体育の授業中に負傷した。この事例につき妥当な記述はどれ

1 Yの給与をA県が負担していても、XはA県に国家賠償を求める事は出来ず、B市にもとめるべきこととなる

2 Xが外国籍である場合には、その国が当該国の国民に対して国家賠償を認めている場合にのみXはB市に国家賠償を認めることが出来る

3 B市がXに対して国家賠償をした場合には、B市はYに故意が認められなければYに求償することはできない

4 B市がYの選任及び監督について相当の注意をしていたとしても、Yの不法行為が認められれば、B市はXへの国家賠償責任を免れない

5 XはYに過失が認められれば、B市に国家賠償を求めるのと並んでYに対して民法上の損害賠償を求めることが出来る

18の正解はここ
4
1:国家賠償法において、選任したB市と、給与や費用を負担、営造物を設置する者であるA県も損害賠償責任が生じます
2:外国人が被害者である場合は、相互の保証がある場合に国家賠償法が適用されますので、Xの国が「日本人に対して」国家賠償を認めている場合にのみXは国家賠償を求めることが出来ます
3:国または公共団体が、その公務員に対して求償権を有するのは「故意または重大な過失があったとき」です
5:国家賠償請求は国または公共団体が負う者であり、公務員個人が負うのではありません

問19

損失補償に関した判例で妥当なものはどれ

1 火災の際の消防活動において、消防長は、消火若しくは延焼の防止又は人命の救助のため緊急の必要性がある時は、消防対象物ないし延焼対象物以外の建築物等を破壊することが出来るが、当該行為は延焼を防ぐために必要な緊急の措置であるため、損害を受けた者は消防法による損失補償を請求することができない

2 都市計画法上の用途地域の指定について、土地の利用規制を受ける事となった者は、当該都市計画を定める地方公共団体に対して、通常生ずべき損害の補償を求めることが出来る旨が同法に規定されている為、利用規制を受けたことによって被った損失の補償を求めることが出来る

3 都市計画事業の為に土地が収容される場合、被収用地に都市計画決定による建築制限が課されていても、被収容者に対して土地収用法によって補償すべき相当な価格とは、被収用地が建築制限を受けていないとすれば、裁決時においてゆうするであろうと認められる価格をいう

4 土地収用による損失補償の額を不服として、土地所有者または関係人が訴えを提起する場合には、補償額を決定した裁決を行った収用委員会の所属する都道府県を被告として、裁決の取消の訴えを提起する必要がある

5 道路管理者である地方公共団体が行った地下横断歩道の新たな設置によって自己の所有する地下埋設ガソリンタンクが消防法の規定違反となり、事業者が当該ガソリンタンクを移転した場合には、事業者は移転に必要な費用につき道路法による損失補償を求めることが出来る

19の正解はここ
3
1:破壊消防による損失補償を請求するには、火災が発生、発生しようとしている、または延焼の恐れがある消防対象物およびこれらの土地以外の消防対象物および立地に対してなされたもので、かつ、消火若しくは延焼の防止、人命の救助のために緊急の必要性があるとき。の条件となります
2:土地の利用制限を受けることになった者の損失は、一般的に当然に受忍すべきとされる制限の範囲を超えて特別の犠牲を課せられたものとなった場合、補償請求できます
4:土地収用法で、損失補償の訴えは、これを提起した者が起業者であるときは土地所有者または関係人を被告とし、土地所有者または関係人である場合は起業者を被告としなければなりません
5:道路工事の施工の結果、技術上の基準に適合しない状態になり、それを適合するよう移転等を余儀なくされ損失を被ったとしても、道路工事の施工によりたまたま損失が現実化するに至ったものに過ぎず、道路法の定める補償対象には属しないです

問20

普通地方公共団体の条例に関し誤りはどれ

1 地方公共団体は、住民がこぞって記念する事が定着している日で、休日とすることについて広く国民の理解が得られるようなものは、条例で当該地方公共団体独自の休日として定めることが出来る

2 地方公共団体は、法律の委任に基づく条例の場合だけでなく、自主条例の場合においても、一定の範囲内で懲役を科する旨の規定を設けることが出来る

3 地方公共団体は、それぞれの議会の定数を条例で定めるが、議員の任期について条例で定める事は出来ない

4 地方公共団体は、公の施設の設置目的を効果的に達成する為必要があると認めるときは、当該公の施設の管理を指定管理者に行わせる旨の条例を制定することが出来る

5 地方公共団体は、その権限に属する事務を分掌させる必要があると認める時は、条例で、その区域を分けて特別区を設けることが出来る

20の正解はここ
5
特別区は、総務大臣が「法律」の定めるところにより設置できます。「条例」ではありません