耳で覚える!行政書士 行政法2
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問1

AはZ県内で開発行為を計画しZ県知事に都市計画法に基づく開発許可を申請した。しかし知事はこの開発行為によりがけ崩れの危険があるなど、同法所定の許可要件を充たしていないと申請を拒否する処分をした。これを不服とし、AはZ県開発審査会に審査要求をしたが、同審査会も拒否処分を妥当とし審査請求を棄却する議決をした。この為Aは申請拒否処分と棄却裁決の両方につき取消訴訟を提起した。
この裁決取消訴訟の被告はどこで、こうした裁決取消訴訟において一般に許される主張はどのようなもので、何という原則か40字程度で記述せよ

1の正解はここ
ex:Z県が被告となり、裁決固有の瑕疵のみ主張できる。この原則を原処分主義という。
行政事件訴訟法で、裁決の取消の訴えにおいて、当該裁決をした行政庁の所属する国または公共団体を被告として提起します。
今回、申請拒否処分をだしたのはZ県、棄却裁決をしたのはZ県開発審査会であり、Z県に所属するのでZ県が被告となります。
また、裁決取消訴訟をする場合、処分が違法である事を理由に取り消しを求める事は出来ず、「裁決の権限や手続きに問題がある」という瑕疵を理由にしなければなりません。最後に、処分について争いたい場合は処分取消訴訟を提起しなくてはならないという原則があり、これを原処分主義といいます。

問2

Z県内のY市立中学校に在籍する生徒Aが、Z県が給与を負担する同校の教師Bによる監督が十分でなかったため体育の授業中に負傷した。法令、判例に照らし妥当な記述はどれ

1 AはBに過失が認められれば、Y市に国家賠償を求めるのと並び、Bに対して民法上の損害賠償を求めることが出来る

2 Y市がBの選任及び監督について相当の注意をしていたとしても、Bの不法行為が認められればY市はAへの国家賠償責任を免れない

3 Bの給与をZ県が負担していても、AはZ県に国家賠償を求める事は出来ず、Y市に求めるべきこととなる

4 Aが外国籍である場合、その国が当該国の国民に対して国家賠償を認めている場合にのみ、AはY市に国家賠償を求めることができる

5 Y市がAに対して国家賠償をした場合、Y市はBに故意が認められなければBに求償することはできない

2の正解はここ
2が妥当である。
1:国家賠償請求は国または公共団体が賠償の責に任ずるのであり、公務員が行政機関としての地位において賠償の責任を負うものではなく、公務員個人もその責任を負うものではない。とあります
3:国または公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当たる者と公務員の俸給、給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理費用を負担するものが異なるときは、費用を負担するものもまた、その損害を賠償する責に任ずる。とあるので、A県にも国家賠償を求めることが出来ます。
4:外国人が被害者である場合、相互の保証がある時に限りこれを適用する。とありますので、Aの本国が「日本国民に対して」国家賠償請求を認めている場合に限られます。「当該国の国民に対し」ではありません。
5:公務員が職務を行うについて、「故意または重大な過失があったときは、国または公共団体はその公務員に対し求償権を有する」とありますので、「故意」のみではありません。

問3

直接参政制度で、住民が直接請求できるのはどれ?
1 衆議院の解散請求
2 参議院の解散請求
3 法律の制定請求
4 地方公共団体議会の解散請求

3の正解はここ
4
直接請求は6つ。有権者1/50以上の連署で条例の制定・改廃請求、事務の監査請求。
有権者1/3以上の連署で、議会の解散請求、議員の解職請求、長の解職請求、役員の解職請求 です。

問4

地方公共団体の機関でないのはどれ?
1 地方議会
2 長
3 行政委員会
4 地方裁判所

4の正解はここ
4
1:議会は地方公共団体の議決機関です
2:都道府県知事や市町村長の事で、執行機関の1つです。
3:複数の委員からなる合議制の執行機関です。

問5

地方自治法の定める都道府県の事務に関するもので正しいのはどれ

1 都道府県の法定受託事務は、国が本来果たすべき役割に係るものであるから、法定受託事務に関する賠償責任は国にあり都道府県に賠償責任が生じる事はないとされている

2 都道府県の自治事務と法定受託事務はいずれも事務の監査請求および住民監査請求の対象となることがある

3 都道府県は自治事務については条例を制定することができるが、法定受託事務については条例を制定することが出来ない

4 都道府県の事務は自治事務、法定受託事務及び機関委任事務の3種類に分類される

5 都道府県の自治事務については地方自治法上、どのような事務がこれに該当するか例示列挙されている

5の正解はここ
2 都道府県の自治事務と法定受託事務はいずれも事務の監査請求および住民監査請求の対象となることがある。
1:自治事務と法定受託事務は地方公共団体の事務であり国の公権力を行使するのではなく地方公共団体の公権力を行使するものである。その為、国家賠償法が適用され、都道府県に賠償責任が生じる事がある
3:普通地方公共団体は自治事務と法定受託事務の両方の条例を制定することが出来る。
4:地方分権一括法による改正で機関委任事務は廃止となり、自治事務と法定受託事務の2種類となりました。
5:法定受託事務は例示列挙されているが、自治事務は例示列挙されていません。

問6

行政指導について正しいものはどれ

1 行政指導とは、行政機関がその任務または所掌事務の範囲内において、一定の行政目的を実現する為特定の人や事業者に一定の行為を行う・または行わないよう具体的に求める行為で、指導・勧告・助言・処分などである

2 行政指導を受けたものは速やかに従わなければならない。

3 行政指導を行う者はその趣旨・内容・責任者を明確に示さなければならず、書面を要求されれば原則書面にすることが出来る

4 申請などの届出は、記載事項に漏れ等がなく、形式上の要件に適合している場合、役場はその届出を受け取らなければならず、受け取らなかった場合でも提出先機関の事務所に到達した時、届け出行為が完了したものとなる

6の正解はここ
3が正しいです。
1:行政指導の行為の説明は正しいですが、「処分」は行政指導の具体的行為ではありません。
2:行政指導は自主的な協力により実現されますので、必ず従わなければならないものではなく、従わなくてもその後不利益な扱いを受けるなどもありません。
4:届出は行政庁に対し一定事項の通知をする行為で、国民に対し法令によって通知が義務付けられているものをいいますが、申請は除かれます

問7

不利益処分について誤りはどれか

1 不利益処分とは、原則、行政庁が法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接義務を課し、またはその権利を制限する処分の事

2 不利益処分を公正に行うため、行政庁は法令の規定を具現化し、不利益処分をする為の基準を定めなければならず、その処分基準は窓口に備え付けたりHPに掲載するなどで公表しなければならない。

3 意見陳述の手続をとらなくてはならず、原則、許認可等取消や職務解任など、不利益の大きい処分は聴聞手続きを経なければならず、不利益の小さいものは弁明手続がとられる。

4 聴聞の規定に基づく処分又は不作為については審査請求の対象とはならない

7の正解はここ
2
「定めなければならず・公表しなければならない」が誤りです。これらは「努めなければならない」が正解です。

問8

パブリックコメントについて誤りはどれ?

1 意見公募手続のことで、命令等を定めるにあたり広く一般の意見や情報を求める制度の事

2 原則、公示の日から30日以上の意見提出期間を定める

3 政令や告示、処分基準などの「命令等制定機関」は、命令等の公布と同じ時期に、提出された意見や結果とその理由を公示しなければならない

4 地方公共団体は、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため意見公募手続を行わなければならない

8の正解はここ
4
地方公共団体は意見公募手続を行わなくても良いとなっています。ただし、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければなりません。

問9

行政不服申立てについて誤りはどれ?

1 行政不服申立には、審査請求・再調査の請求・再審査請求・異議申立てがあり、対象は行政庁の処分と不作為に限定される

2 審査請求は、処分又は不作為についてその行政庁に係る最上級行政庁に対し不服を申し立てるもので、処分についての審査請求は処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内にしなければならない。また、審査請求に対する行政庁の判断を裁決という。

3 再調査の請求は、行政庁の処分について処分庁に対し不服を申し立てることで、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内にしなければならない。また、これに対する行政庁の判断を決定という

4 再審査請求は、審査請求に対する裁決についてさらに不服を申し立てるもので、審査請求の裁決があったことを知った日の翌日から起算して1か月以内にしなければならない

9の正解はここ
1
異議申し立ては、2016年の改正で廃止されました。

問10

食中毒事故の原因食材を厚生大臣が公表したもので、その国家賠償責任が問われた判決に明らかに反しているのはどれ

食中毒事故が起こった場合その発生原因を特定して公表する事に関し、直接これを定めた法律の規定が存在しないのは原告の指摘するとおりである。
しかし行政機関が私人に関する事実を公表したとしても、それは直接その私人の権利を制限しあるいはその私人に義務を課すものでないから行政行為にあたらず、いわゆる非権力的事実行為に該当しその直接の根拠となる法律上の規定が存在しないからと言ってそれだけで直ちに違法の問題が生じることはないというべきである。もちろんその所管する事務とまったくかけ離れた事項について公表した場合には、それだけで違法の問題が生じることも考えられるが、本件各報告の公表はそのような場合ではない。
すなわち厚生省は、公衆衛生行政・食品衛生行政を担い、その所管する食品衛生法は「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し公衆衛生の向上及び増進に寄付する事」を目的としているのであるから、本件集団下痢症の原因を究明する本件各報告の作成・公表は、厚生省及び厚生大臣の所管する事務の範囲内に含まれることは明らかである。
このように、厚生大臣がその所管する事務の範囲内において行い、かつ、国民の権利を制限し、義務を課すことを目的としてなされたものではなく、またそのような効果も存しない本件各報告の公表について、これを許容する法律上の直接の根拠がないからといってそれだけで直ちに法治主義違反の違法の問題が生じるとはいえない。

1 法律の留保に関するさまざまな説のうち、いわゆる侵害留保説が前提とされている

2 行政庁がその所掌事務からまったく逸脱した事項について公表を行った場合、当該公表は違法性を帯びることがありうるとの立場がとられている

3 義務違反に対する制裁を目的としない情報提供型の公表は非権力的事実行為に当たるとの立場がとられている

4 集団下痢症の原因を究明する本件各報告の公表には食品衛生法の直接の根拠が存在しないとの立場がとられている

5 本件公表は国民の権利を制限し義務を課すことを直接の目的とするものではないが、現実には特定の国民に重大な不利益をもたらす事実上の効果を有するものであることから、法律上の直接の根拠が必要であるとの立場がとられている

10の正解はここ
5
「本件公表は~直接の目的とするものではなく、またそのような効果も存しない」とありますので5が誤りとなります。

問11

行政裁量に関しての判例で誤りはどれ

1 外国人が在留期間中に日本で行った政治活動の中に、わが国の出入国管理政策に対する非難行動あるいはわが国の基本的な外交政策を非難し日米間の友好関係に影響を及ぼすおそれがないとはいえないものが含まれていたとしても、それらは憲法の保障が及ぶ政治活動であり、このような活動の内容を慎重に吟味することなく、在留期間の更新を適法と認めるに足りる相当の理由があるものとはいえないとした法務大臣の判断は、考慮すべき事項を考慮しておらず、その結果社会観念上著しく妥当を欠く処分をしたものであり、裁量権の範囲を超える違法なものとなる

2 学生が信仰上の理由によりした剣道実技の履修拒否について、正当な理由のない履修拒否と区別することなく、代替措置が不可能というわけでもないのに、代替措置について何ら検討することなく原級留置処分をし、さらに退学処分をした公立高等専門学校の校長の措置は、考慮すべき事項を考慮しておらず、又は考慮された事実に対する評価が明白に合理性を欠き、その結果社会観念上著しく妥当を欠く処分をしたものであり、原級留置処分と退学処分は裁量権の範囲を超える違法なものとなる

3 個人タクシー事業の免許に当り、多数の申請人のうちから少数特定の者を具体的個別的事実関係に基づき選択してその免許申請の許否を決しようとするときには、道路運送法の規定の趣旨に沿う具体的審査基準の内容が高度の認定を要するものである等の場合は、基準の適用上必要とされる事項について聴聞その他適切な方法により申請人に対してその主張と証拠提出の機会を与えるべきであって、これに反する審査手続きにより免許申請を却下した時は、公正な手続きによって免許申請の許否につき判定を受けるべき申請人の法的利益を侵害したものとして当該却下処分は違法となる

4 原子炉施設の安全性に関する処分行政庁の判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理・判断は、原子力委員若しくは原子炉安全専門審査会の専門技術的な調査審議及び判断を基にしてされた処分行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであって、現在の科学技術水準に照らし、調査審議において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、あるいは当該原子炉施設がその具体的審査基準に適合するとした原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の長さ審議及び判断の過程に看過し難い過誤・欠落があり、行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、処分行政庁の判断に不合理な点があるとして、その判断に基づく原子炉設置許可処分は違法となると解すべきである

5 裁判所が懲戒権者の裁量権の行使としてされた公務員に対する懲戒処分の適否を審査するにあたっては、懲戒権者と同一の立場に立って懲戒処分をすべきであったかどうか又はいかなる処分を選択すべきであったかについて判断し、その結果と処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく、それが社会観念上著しく妥当を欠き裁量権を濫用したと認められる場合に限り、違法と判断すべきものである

11の正解はここ
1
マクリーン事件の判例は必ず一度は見ておくべき判例です。東京地方裁判所では一度、裁量を超え違法だとなりましたが、その後東京高等裁判所にて、法務大臣の裁量を超えた違法ではないとなりました。

問12

次のうち正しい組み合わせはどれ

ア 行政処分の取消訴訟において、処分取消判決が確定した時であっても、同一処分に関する国家賠償訴訟において、被告は当該処分を行ったことが国家賠償法上は違法ではないと主張する事が許される

イ 行政処分が無効と判断される場合であっても、その効力の有無を争うためには抗告訴訟を提起する必要があり、当事者訴訟や民事訴訟においてただちに行政処分の無効を主張する事は許されない

ウ 行政処分が違法である事を理由として国家賠償請求をするに当たっては、あらかじめ当該行政処分について取消訴訟を提起し、取消判決を得ていなければならないものではない

エ 行政処分の違法性を争点とする刑事訴訟において被告人が処分の違法を前提とする主張をする場合には、あらかじめ当該行政処分について取消訴訟を提起し、取消判決を得ておかなければならない

12の正解はここ
ア・ウ
イ:行政処分が無効と判断される場合で、当事者訴訟や民事訴訟の提起により目的を達成できる場合はこれらの訴訟で無効を主張できます。抗告訴訟(無効等確認の訴え)は、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受ける恐れのある者、当該処分または裁決の無効等確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否またはその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することが出来ないものが提起できます
エ:刑事訴訟において、被告人が処分の違法を前提とする主張をする場合、あらかじめ取消判決を得ていなければならないわけではないです。

問13

処分又は行政指導であって、その根拠となる規定が法律に置かれているものに関し、当該事項を求め得ることが行政手続法に規定されていないのはどれ

1 不利益処分の名宛人となるべき者は、聴聞の通知を受けた場合、聴聞が終結するまでの間、行政庁に対し当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることが出来る

2 不利益処分の名宛人となるべき者は、弁明の機会の付与の通知を受けた場合、口頭による意見陳述のために、弁明の機会の付与に代えて聴聞を実施する事を求めることが出来る

3 法令に違反する行為の是正を求める行政指導の相手方は、当該行政指導が法定の要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、当該行政指導の中止を求めることが出来る

4 何人も、法令に違反する事実がある場合において、法令違反の是正のためにされるべき処分がされていないと思料する時は、権限を有する行政庁に対し、当該処分をすることを求めることが出来る

5 何人も、法令に違反する事実がある場合において、法令違反の是正のためにされるべき行政指導がされていないと思料する時は、権限を有する行政機関に対し、当該行政指導をすることを求めることが出来る

13の正解はここ
2
弁明の機会に代えて聴聞を実施することを求める事は出来ません。聴聞と弁明の機会の付与は別の手続となります。

問14

行政手続法が定める行政庁等の義務と努力義務に関し誤りはどれ

1 申請に対する処分について、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めることは、担当行政庁の努力義務にとどまり義務とはされていない

2 申請に対する処分について、公聴会の開催その他の適当な方法により利害関係人の意見を聴く機会を設けるべきことは、担当行政庁の努力義務にとどまり、義務とはされていない

3 不利益処分について、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくことは他党行政庁の努力義務にとどまり義務とはされていない

4 行政指導について、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容ならびに責任者を示すことは、当該行政指導に携わるものの努力義務にとどまり義務とはされていない

5 意見公募手続について、当該手続の実施について周知することおよび当該手続の実施に関連する情報を提供することは、命令等制定機関の努力義務にとどまり、義務とはされてない

14の正解はここ
4
行政指導に関して、趣旨及び内容、責任者を明確に示さなければなりません。

問15

行政手続法に関し誤りはどれ

1 行政庁は、申請の形式上の要件に適合しない申請については、補正を求めなければならず、ただちにこれを拒否してはならない

2 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合、申請者に対し同時に当該処分の理由を提示しなければならない

3 行政庁は申請者の求めがあれば、申請に係る審査の進行状況や申請に対する処分時期の見通しを示すよう努めなければならない

4 申請により求められた許認可等を拒否する処分は、不利益処分ではなく申請に対する処分に該当する

5 形式上の要件に適合する届出については、提出先とされる機関の事務所に届出書が到達したときに届出の義務が履行されたものとする

15の正解はここ
1
法令で定められた申請の形式上の要件に適合しない申請は、速やかに申請した者に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は許認可等を拒否しなければならないです。

問16

行政不服審査法における再調査の請求に関し妥当な記述はどれ

1 行政庁の処分につき、処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることが出来る場合、処分庁に再調査の請求をすることは認められない

2 行政庁の処分に不服がある場合の他、法令に基づく処分についての申請について不作為がある場合にも再調査の請求が認められる

3 再調査の請求においても、原則として、その審理は審理員によってなされなければならないが、行政不服審査会等への諮問は要しない

4 再調査の請求において、請求人または参加人の申立があった場合には、それが困難であると認められない限り、口頭で意見を述べる機会を与えなければならない

5 再調査の請求がなされた場合、処分庁は、職権で処分の効力、執行または手続の続行を停止することができるが、これらを請求人が申し立てることはできない

16の正解はここ
4
1:処分庁以外の行政庁に対し、審査請求をすることができる場合、法律に再調査の請求ができる旨の定めがある場合、処分庁に対して再調査の請求をできます
2:当該処分に不服がある者が、行政庁に対し再調査の請求をできます。不作為がある場合にも、という規定はありません
3:行政不服審査会等への諮問をしなければならないという規定はなく、再調査の請求における審理は審理員ではなく処分庁が行います
5:職権または審査請求人の申立により、処分の効力、処分の執行または手続の続行の全部または一部の停止その他の措置をとることができます

問17

行政不服審査法における審理員について妥当な記述はどれ

1 審理員による審理手続は、処分についての審査請求においてのみなされ、不作為についての審査請求においてはなされない

2 審理員は、審査庁に所属する職員のうちから指名され、審査庁となるべき行政庁は、審理員となるべき者の名簿を作成するよう努めなければならない

3 審理員は、処分についての審査請求において、必要があると認める場合には、処分庁に対し処分の執行停止をすべき旨を命ずることができる

4 審理員は、審理手続を終結したときは、審理手続の結果に関する調書を作成し、審査庁に提出するが、その中では審査庁のなすべき裁決に関する意見の記載はされない

5 審理員は、行政不服審査法が定める例外に該当する場合を除いて、審理手続を終結するに先立ち、行政不服審査会等に諮問しなければならない

17の正解はここ
2
1:審理員による審理手続は、処分についての審査請求のほか不作為についてもなされています
3:執行停止をすべき旨を命ずることが出来るのは、処分庁の上級行政庁または処分庁である審査庁です。職権又は審査請求人の申立により、処分の効力、処分の執行または手続の続行の全部または一部の停止その他の措置をとることができます
4:審理手続が終結した時、審理員が提出するのは審理員意見書であり、調書ではありません。これは審査庁がすべき裁決に関する意見書で、終結したら遅滞なく意見書を作成しなければならず、これを作成したら速やかに、事件記録と共に審査庁に提出しなければなりません
5:審査庁は、審理員意見書を受けとったときは、例外を除いて行政不服審査委員会等(第三者機関)に諮問しなければならないです。審理員ではありません

問18

行政不服審査法の定める審査請求に対する裁決に関し正しいのはどれ

1 処分についての審査請求が不適法である場合や、審査請求が理由がない場合、審査庁は裁決で当該審査請求を却下するが、このような裁決には理由を記載しなければならない

2 処分についての審査請求に対する認容裁決で、当該処分を変更する事ができるのは、審査庁が処分庁の上級行政庁または処分庁の場合に限られるが、審査庁が処分庁の場合は審査請求人の不利益に当該処分を変更する事もできる

3 不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合その他不適法である場合は、審査庁は裁決で当該審査請求を却下する

4 法令に基づく申請を却下し、または棄却する処分の全部または一部を取り消す場合において、審査庁が処分庁の上級行政庁である場合、当該審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認める時は自らその処分を行うことが出来る

5 不作為についての審査請求が理由がある場合において、審査庁が不作為庁の上級行政庁である場合、審査庁は裁決で当該不作為が違法または不当である旨を宣言するが、当該不作為庁に対し、一定の処分をすべき旨を命ずる事は出来ない

18の正解はここ
3
1:審査請求が不適法である場合、却下しますが、審査請求が理由がない場合は棄却します。却下・棄却共に理由を記載します
2:上級行政庁または処分庁の場合、認容裁決で当該処分の全部または一部を変更できますが、審査請求人の不利益に変更はできないです
4:申請を却下又は棄却する処分の一部または全部を取り消す場合、審査庁が処分庁の上級行政庁である場合、当該処分庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずることが出来ます。「自ら」ではありません
5:不作為について理由がある場合、審査庁が不作為庁の上級行政庁の場合は、裁決で違法または不当であることを宣言し、当該不作為庁に対し当該処分をすべき旨を命ずることができます。

問19

行政事件訴訟法における法律上の利益に関し誤りの組み合わせはどれ

ア 処分の取消訴訟において、原告は自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として処分の取消を求める事は出来ず、こうした理由のみを主張する請求は棄却される

イ 処分の無効確認の訴えは、当該処分に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分の無効の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分の無効を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないものに限り提起することが出来る

ウ 処分の取消訴訟は、処分の効果が期間の経過その他の理由によりなくなった後においてもなお、処分の取消によって回復すべき法律上の利益を有するものであれば提起することが出来る

エ 不作為の違法確認訴訟は、処分について申請をした者以外の者であっても、当該不作為の違法の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者であれば提起することが出来る

オ 民衆訴訟とは、国または公共団体の機関相互間における権限の存否またはその行使に関する訴訟であり、原告は自己の法律上の利益に関わらない資格で提起することが出来る

19の正解はここ
エ・オが誤り
エ:不作為の違法確認の訴えは申請をした者に限り提起できます。
オ:国または公共団体の機関相互間における権限の存否または行使に関する訴訟は「機関訴訟」です。「民衆訴訟」とは、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益に関わらない資格で、国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟です。

問20

地方自治法が定める地方公共団体の事務に関し誤りの組み合わせはどれ

ア 自治事務とは、自らの条例又はこれに基づく規則により都道府県、市町村または特別区が処理する事とした事務であり、都道府県、市町村および特別区は、当該条例または規則に違反してその事務を処理してはならない

イ 第一号法定受託事務とは、法律またはこれに基づく政令により都道府県、市町村または特別区が処理する事とされている事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律またはこれに基づく政令に特に定めるものである

ウ 各大臣は、その担任する事務に関し、都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認める時または著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認める時は、当該都道府県に対し、当該自治事務の処理について違反の是正または改善の為必要な措置を講ずべきことを求めることが出来る

エ 各大臣は、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認める時または著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該法定受託事務の処理について違反の是正又は改善のため講ずべき措置に関し必要な指示をすることができる

オ 各大臣は、その所管する法律に係る都道府県知事の法定受託事務の執行が法令の規定に違反する場合、当該都道府県知事に対して、期限を定めて、当該違反を是正すべきことを勧告し、さらに、指示することができるが、当該都道府県知事が期限までに当該事項を行わない時は、地方裁判所に対し、訴えをもって当該事項を行う事を命ずる旨の裁判を請求できる

20の正解はここ
ア・オが誤り
ア:自治事務は地方自治体が処理する事務のうち法定受託事務以外のものの事です。(自らの条例又は規則により処理することとした事務ではないです)
オ:法定受託事務の実行が違反する場合、都道府県知事に対して期限を定めて当該違反を是正することを勧告し、さらに指示をすることができます。これにより期限までに行わない場合は「高等裁判所」に訴えることができます。「地方裁判所」ではありません。