行政事件訴訟法が定める義務付け訴訟に関し正しいのはどれか
1 申請拒否処分がなされた場合における申請型義務付け訴訟は、拒否処分の取消訴訟と併合提起しなければならないが、その無効確認訴訟と併合提起する事は出来ない
2 行政庁が義務付け判決に従った処分をしない場合には裁判所は、行政庁に代わって当該処分を行うことが出来る
3 義務付け判決には、取消判決の拘束力の規定は準用されているが第三者効の規定は準用されていない
4 処分がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避ける為緊急の必要がある場合には、当該処分につき義務付け訴訟を提起しなくとも、仮義務付けのみを単独で申し立てることが出来る
5 義務付け訴訟は行政庁の判断を待たず裁判所が一定の処分を義務付けるものであるから、申請型、非申請型のいずれの訴訟も「重大な損害を生じるおそれ」がある場合のみ提起できる
国家賠償法に関し正しい組み合わせはどれか
ア 同一の行政主体に属する複数の公務員のみによって一連の職務上の行為が行われ、その一連の過程で他人に損害が生じた場合、損害の直接の原因となった公務員の違法行為が特定できないときには、当該行政主体は国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負う事はない
イ 税務署長が行った所得税の更正処分が所得金額を過大に認定したものであるとして取消訴訟で取り消されたとしても、当該税務署長が更正処分をするに際して職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしていた場合は、当該更正処分に国家賠償法1条1項にいう違法があったとはされない
ウ 国家賠償法1条1項に基づく賠償責任は、国または公共団体が負うのであって、公務員個人が負うものではないから、公務員個人を被告とする賠償請求の訴えは不適法として却下される
エ 国家賠償法1条1項が定める「公務員がその職務を行うについて」という要件については、公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合に限らず、自己の利をはかる意図をもってする場合であっても、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしたときはこの要件に該当する
国家賠償法に関し妥当なものはどれ
1 宅地建物取引業法は、宅地建物取引業者の不正な行為によって個々の取引関係者が被る具体的な損害の防止、救済を制度の直接の目的とするものであるから、不正な行為をした業者に対する行政庁の監督権限の不行使は、被害者との関係においても直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける
2 建築基準法に基づく指定を受けた民間の指定確認検査機関による建築確認は、それに関する事務が行政庁の監督下に置いて行われているものではないため、国家賠償法1条1項の公権力の行使には当たらない
3 公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法、または同法を引き継いだ公害健康被害補償法に基づいて水俣病患者の認定申請をした者が水俣病の認定を受けた場合でも、申請処理の遅延により相当の期間内に応答がなかったという事情があれば、当該遅延は直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける
4 裁判官がおこなう争訟の裁判については、その裁判の内容に上訴等の訴訟法上の救済方法で是正されるべき瑕疵が存在し、当該裁判官が付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したと認め得るような事情がみられたとしても、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けることはない
5 検察官が公訴を提起した裁判において、無罪の判決が確定したとしても、そのことから直ちに起訴前の逮捕や勾留とその後の公訴の提起などが国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるということにならない
住民について定める地方自治に関し正しい組み合わせはどれ
ア 市町村の区域内に住所を有する者は当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民とする
イ 住民は日本国籍の有無に関わらず、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有する
ウ 住民は法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う
エ 日本国民たる普通地方公共団体の住民は、その属する普通地方公共団体の全ての条例についてその内容にかかわらず、制定または改廃を請求する権利を有する
オ 都道府県は、別に法律の定めるところにより、その住民につき住民たる地位に関する正確な記録を常に整備しておかなければならない
地方自治法の定める自治事務と法定受託事務に関し正しいのはどれ
1 都道府県知事が法律に基づいて行政処分を行う当該法律において、当該処分を都道府県の自治事務とする旨が特に定められている時に限り、当該処分は自治事務となる
2 都道府県知事が法律に基づいて自治事務とされる行政処分を行う場合、当該法律に定められている処分の要件については、当該都道府県知事が条例によってこれを変更することができる
3 普通地方公共団体は、法定受託事務の処理に関し法律またはこれに基づく政令によらなけば、国または都道府県の関与を受けることはないが、自治事務の処理に関して法律又はこれに基づく政令によることなく国または都道府県の関与を受けることになる
4 自治紛争処理委員は、普通地方公共団体の自治事務に関する紛争を処理するために設けられたものであり、都道府県は、必ず常勤の自治紛争処理委員をおかなければならない
5 都道府県知事は、市町村の担任する自治事務の処理が法律の規定に違反していると認めるとき、または著しく適性を欠き、かつ明らかに公益を害していると認める時は、当該市町村に対し当該自治事務の処理について違反の是正または改善のため必要な措置を講ずべきことを勧告することができる
地方自治法に基づく住民訴訟に関し妥当なものはどれ
1 住民訴訟を提起した者が当該訴訟の係属中に死亡した時、その相続人は当該地方公共団体の住民である場合に限り訴訟を継承することができる
2 住民訴訟を提起する者は、その対象となる財務会計行為が行われた時点において当該普通地方公共団体の住民であることが必要である
3 住民訴訟の前提となる住民監査請求は、条例で定める一定数の当該地方公共団体の住民の連署によりこれをする必要がある
4 普通地方公共団体の議会は、住民訴訟の対象とされた当該普通地方公共団体の不当利得返還請求権が裁判において確定した後は、当該請求権に関する権利放棄の議決をすることはできない
5 住民訴訟を提起した者は、当該住民訴訟に勝訴した場合、弁護士に支払う報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払いを当該普通地方公共団体に請求できる
情報公開をめぐる最高裁判所の判例で妥当なものはどれ
1 条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、被告は当該決定が適法である事の理由として実施機関が当該決定に付した非公開理由とは別の理由を主張する事も許される
2 行政機関情報公開法に基づく開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が保有していない事を理由とする不開示決定の取消訴訟において、不開示決定時に行政機関が当該文書を保有していなかったことについての主張立証責任は被告が負う
3 条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、当該公文書が書証として提出された場合には、当該決定の取消を求める訴えの利益は消滅する
4 条例に基づく公文書非開示決定に取消得るべき瑕疵があった場合には、そのことにより直ちに国家賠償請求訴訟において、当該決定は国家賠償法1条1項の適用上違法であるとの評価を受ける
5 条例に基づき地方公共団体の長が建物の建築工事計画通知書についてした公開決定に対して、国が当該建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることを理由としてその取り消しを求める訴えは法律上の争訟には当たらない
自動車の運転免許に関して正しいのはどれか
1 自動車運転免許の交付事務を担当する都道府県公安委員会は合議制の機関であることから、免許の交付の権限は都道府県公安委員会の委員長ではなく都道府県公安委員会が有する
2 道路交通法に違反した行為を理由として運転免許停止処分を受けた者がその取り消しを求めて取消訴訟をしたところ、訴訟係属中に免許停止期間が終了した場合、当該違反行為を理由とする違反点数の効力が残っていたとしても当該訴訟の訴えの利益は消滅する
3 運転免許証の「年月日まで有効」という記載は、行政行為に付される付款の一種で、行政法学上では「条件」と呼ばれるものである
4 自動車の運転免許は、免許を受けた者に対し公道上で自動車を運転できるという権利を付与するものであるから、行政法学上の特許にあたる
5 都道府県公安委員会は国家公安委員会の地方支分部局に当たるため、内閣総理大臣は閣議にかけた方針に基づき都道府県公安委員会の運転免許交付事務を指揮監督することができる
行政上の義務の履行確保手段に関し正しいのはどれ
1 即時強制とは非常の場合または危険切迫の場合において、行政上の義務を速やかに履行させることが緊急に必要とされる場合に、個別の法律や条例の定めにより行われる簡易な義務履行確保手段をいう
2 直接強制は、義務者の身体又は財産に直接に実力を行使して義務の履行があった状態を実現するものであり、代執行を補完するものとしてその手続きが行政代執行法に規定されている
3 行政代執行法に基づく代執行の対象となる義務は「法律」により直接に命じられ、または「法律」に基づき行政庁により命じられる代替的作為義務に限られるが、ここにいう「法律」に条例は含まれない旨があわせて規定されているため、条例を根拠とする同種の義務の代執行については別途その根拠となる条例を定める必要がある
4 行政上の秩序罰とは、行政上の秩序に障害を与える危険がある義務違反に対して科される罰であるが、刑法上の罰ではないので国の法律違反に対する秩序罰については、非訟事件手続きの定めるところにより所定の裁判所によって科される
5 道路交通法に基づく違反行為に対する反則金の納付通知について不服がある場合は、被通知者において刑事手続きで無罪を主張するか、当該納付通知の取消訴訟を提起するかのいずれを選択することが出来る
公有水面埋立に関し誤っている用語の組み合わせはどれ
海は特定人による独占的排他的支配の許されないものであり、現行法上、海水に覆われたままの状態でその一定範囲を区画してこれを私人の所有に帰属させるという制度は採用されていないから、海水に覆われたままの状態においては、私法上【ア所有権】の客体となる土地に当らない。また、海面を埋立てるために土砂が投入されて埋立地が造成されても原則、埋立者が竣工認可を受けて当該埋立地の【ア所有権】を取得するまでは、その土砂は海面下の地盤に付合するものではなく公有水面埋立法・・・に定める原状回復義務の対象となり得るものである~~~これらのことからすれば、海面の埋立工事が完成して陸地が形成されても同項に定める原状回復義務の対象となり得る限りは、海面下の地盤の上に独立した動産たる土砂が置かれているにすぎないから、この時点ではいまだ当該埋立地は私法上【ア所有権】の客体となる土地に当らないというべきである
公有水面埋立法・・・に定める上記原状回復義務は海の公共性を回復するために埋立をした者に課せられた義務である。そうすると、長年にわたり当該埋立地が事実上公の目的に使用されることもなく放置され、【イ公共用】財産としての形態・機能を完全に喪失し、その上他人の平穏かつ公然の【ウ占有】が継続したが、そのため実際上公の目的が害されるようなこともなく、これを【イ公共用】財産として維持するべき理由がなくなった場合にはもはや同項に定める原状回復義務の対象とならないと解すべきである。したがって、竣功未認可埋立地であっても、上記の場合には当該埋立地はもはや公有水面に復元されることなく私法上所有権の客体となる土地として存続することが確定し、同時に【エ明示】的に公用が廃止されたものとして【オ消滅時効】の対象となるというべきである
国家賠償法1条に関し妥当なものはどれ
1 通達は本来、法規としての性質を有しない行政組織内部の命令にすぎず、その違法性を裁判所が独自に判断できるから、国の担当者が、法律の解釈を誤って通達を定め、この通達に従った取り扱いを継続したことは、国家賠償法1条1項の適用上も当然に違法なものと評価される
2 検察官は合理的な嫌疑があれば公訴を提起することが許されるのであるから、検察官が起訴した裁判において最終的に無罪判決が確定したからといって、当該起訴が国家賠償法1条1項の適用上も当然に違法となるわけではない
3 裁判官のなす裁判も国家賠償法1条のさだめる「公権力の行使」に該当するが、裁判官が行う裁判においては自由心証主義が認められるから、裁判官の行う裁判が国家賠償法1条1項の適用上違法と判断されることはない
4 国会議員の立法行為は、国家賠償法1条の定める「公権力の行使」に該当するものではなく、立法の内容が憲法の規定に違反する場合であっても、国会議員の当該立法の立法行為は国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けることはない
5 政府が、ある政策目標を実現するためにとるべき具体的な措置についての判断を誤り、ないしはその措置に適切を欠いたため当該目標を達成できなかった場合には、国家賠償法1条1項の適用上当然に違法の評価を受ける
地方自治法が定める公の施設に関し誤りはどれ
1 普通地方公共団体は、法律またはこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置に関する事項を条例で定めなければならない
2 普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用する事について、不当な差別的取り扱いをしてはならないが、正当な理由があれば利用を拒むことが出来る
3 普通地方公共団体は、公の施設を管理する指定管理者の指定をしようとするときは、あらかじめ議会の議決を経なければならない
4 公の施設は、住民の利用に供するために設けられるのであり、普通地方公共団体は、その区域外において、公の施設を設ける事は出来ない
5 普通地方公共団体が、公の施設の管理を指定管理者に行わせる場合には、指定管理者の指定の手続等の必要な事項を条例で定めなければならない
地方自治法に関し正しいのはどれ
1 町村は議会に代えて、選挙権を有する者の総会を設ける場合住民投票を経なければならない
2 普通地方公共団体の議会は、除名された議員で再び当選した者について、正当な理由がある場合にはその者が議員となることを拒むことができる
3 普通地方公共団体の議会の権限に属する軽易な事項で、その議決により特に指定した者は普通地方公共団体の長において、専決処分にすることができる
4 普通地方公共団体が処理する事務のうち、自治事務についても法定受託事務同様に、地方自治法により複数の種類が法定されている
5 自治事務とは異なり、法定受託事務に関する普通地方公共団体に対する国または都道府県の関与については、法律に基づかないでなすことも認められている
地方自治法による住民監査請求と住民訴訟に関し妥当なものはどれ
1 地方公共団体が随意契約の制限に関する法令の規定に違反して契約を締結した場合、当該契約は当然に無効であり、住民はその債務の履行の差止めを求める住民訴訟を提起することが出来る
2 住民訴訟によって、住民は地方公共団体の契約締結の相手方に対し、不当利得返還等の代位請求をすることができる
3 住民監査請求をするに当たって、住民は当該地方公共団体の有権者のうち一定数以上の者とともにこれをしなければならない
4 地方公共団体の住民が違法な公金の支出の差止めを求める住民訴訟を適法に提起した場合において、公金の支出がなされることによる重大な損害を避ける為、同時に執行停止の申立ても行うことが出来る
5 監査委員が適法な住民監査請求を不適法として却下した場合、当該請求をした住民は、適法な住民監査請求を経たものとして、直ちに住民訴訟を提起することが出来る