
憲法概念はその存在様式によって区分することができる。憲法という法形式をとって存在している法を「形式的意味の憲法」と呼び、法形式に関わらず国家の組織や作用に関する基本的規範を「実質的意味の憲法」と呼ぶ。
形式的意味の憲法の効力は他の法規範より優越する。多くの国ではこの優越性を現実に保障するため裁判所による違憲審査制を採用しているが、法令の合憲性について議会が最終的に判断するという制度が憲法の形式的優位性と矛盾するとはいえない
「固有の意味の憲法」と「立憲的意味の憲法」を区別することができる。1789年フランス人権宣言の有名な一説「権利の保障が確保されず、権力の分立が定められていない社会はすべて憲法を持つものではない」は、前者の趣旨を示したものである。
形式的意味の憲法にはいかなる内容を盛り込むことも可能だが、歴史的には立憲主義の成文化を求める動きが憲法典の普及を促進した。日本国憲法はこの経緯を踏まえ、憲法の形式的優位性の実質的根拠を示すため、第10章「最高法規」中に公務員の憲法尊重擁護義務を定める第99条を置いている
国家統治の基本を定めた法としての憲法を【固有の意味の憲法】と呼び、国家権力を制限し国民の権利を保障するという思想に基づくものを【立憲的意味の憲法】と呼び、それぞれ区別する事がある。これは憲法の内容に着目した区別で、憲法の存在形式とは無関係である
憲法と呼ばれる憲法典を【形式的意味の憲法】と呼び、【実質的意味の憲法】と区別する事がある。この意義は、憲法典に書かれるべきことがかかれないことがあり、逆に本来憲法内容になるべきでないものが法典に書かれることがある点に注意を促すことにある。
憲法改正に法律改正より困難な手続が要求される憲法を硬性憲法、法律改正と同じでよいものを軟性憲法と区別する事がある。
憲法の最高法規性は憲法が「硬性憲法」として国家秩序において最も強い形式的効力を持つ点に求められるので、憲法がいかなる基本価値を体現しているかは関係がない
硬性憲法の原則を重視する立場をとっても、憲法の空白を埋める事実が反復・継続された場合に国家機関を政治的に拘束する憲法慣習の成立を認めることができる。
判例が後の裁判を法的に拘束するという立場をとるならば、法律の合憲性に関する最高裁判所の判例を変更することは、後の最高裁場所であっても許されない
条約の国内法的効力は憲法に劣るという立場をとるならば、裁判所が立法事実の存否を判断する為の資料として国際人権条約を参照することは許されない
日本国憲法前文は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3つの基本原理を明らかにしており、憲法の一部をなすものであって当該規定を根拠に裁判規範性が認められている
法の支配は、人による支配を排斥し、権力を法で拘束することで国民の権利・自由を保障することを目的とする原理である。
法の支配は、法律による行政の原理を意味し、その法律自体の内容は問わない原理である。
日本国憲法も、憲法の最高法規性、基本的人権の保障、特別裁判所の設置の禁止、裁判所による違憲立法審査権等からして法の支配の原理に立脚しているといえる
第二次世界大戦以前には人権を国際的に保障する制度は構築されておらず、第一次世界大戦後に国際連盟が結成されたが、人権問題は専ら国内問題とされていた
第二次世界大戦後、国際連合において採択された世界人権宣言は、国際社会における人権に関する規律の中で最も基本的な宣言で、法規範性を有している
国際連合において採択された国際人権規約は、世界人権宣言の内容を基礎としこれを条約化したもので法規範性を有している
憲法前文第3段「自国の主権を維持し」という場合の主権は、対外的な独立性に重点を置いた意味で使われる。
憲法第1条「主権の存する日本国民の総意」は、国の政治のあり方を最終的に決定する権力又は権威を意味する
憲法改正手続における国民投票は、国民主権の権力的な契機の表れといえる