共同事業を営むAとBは、Cから事業資金の融資を受けるに際して、共に弁済期を1年後としてCに対し連帯して1000万円の貸金債務(本件貸金債務)を負担した(1/2づつの負担)この事実を前提とする記述で妥当でないのはどれ
1 本件貸金債務につき、融資を受けるに際してAが錯誤に陥っており、錯誤に基づいて本件貸金債務の発生原因である金銭消費貸借契約を取り消した場合であっても、これによりBが債務を免れることはない
2 本件貸金債務につき、A・C間の更改により、AがCに対して甲建物を給付する債務に変更した場合、Bは本件貸金債務を免れる
3 本件貸金債務につき、弁済期到来後にAがCに対して弁済の猶予を求め、その後更に期間が経過して、弁済期の到来から起算して時効期間が満了した場合に、BはCに対して消滅時効を援用する事は出来ない
4 本件貸金債務につき、Cから履行を求められたAが、あらかじめその旨をBに通知することなくCに弁済した。その当時BはCに対して500万円の金銭債権を有しており、既にその弁済期が到来していた場合、BはAから500万円を求償されたとしても相殺をもって対抗することが出来る
5 本件貸金債務につき、AがCに弁済した後にBに対してその旨を通知しなかったため、Bはこれを知らずにAに対して事前に弁済する旨の通知をしてCに弁済した。この場合、BはAの求償を拒み、自己がAに対して500万円を求償することができる
Aは自己所有の甲機械をBに賃貸し、その後本件賃貸借契約の期間中にCがBから甲の修理を請け負い、Cによる修理が終了した。妥当な記述はどれ
1 Bは本件賃貸借契約において、Aの負担に属するとされる甲の修理費用について直ちに償還請求することができる旨の特約がない限り、契約終了時でなければAに対し償還を求める事は出来ない
2 CがBに対して甲を返還しようとしたところ、Bから修理代金の提供がなかったため、Cは甲を保管することにした。Cが甲を留置している間は留置権の行使が認められるため、修理代金債権に関する消滅時効は進行しない
3 CはBに対して甲を返還したが、Bが修理代金を支払わない場合、CはBが占有する甲につき、動産保存の先取特権を行使することができる
4 CはBに対して甲を返還したが、Bは修理代金を払わないまま無資力となり、本件賃貸借契約が解除されたことにより甲はAに返還された。本件賃貸借契約において、甲の修理費用をBの負担とする旨の特約が存するとともに、これに相応して賃料が減額されていた場合、CはAに対して、事務管理に基づいて修理費用相当額の支払いを求めることが出来る
5 CはBに対して甲を返還したが、Bは修理代金を支払わないまま無資力となり、本件賃貸借契約が解除されたことにより甲はAに返還された。本件賃貸借契約において、甲の修理費用をBの負担とする特約が存するとともに、これに相応して賃料が減額されていた場合、CはAに対して、不当利得に基づいて修理費用相当額の支払いを求めることができない
不法行為に関し妥当なものはどれ
1 景観の良否についての判断は個々人によって異なる主観的かつ多様性のあるものであることから、個々人が良好な景観の恵沢を享受する利益は、法律上保護される利益ではなく、当該利益を侵害しても不法行為は成立しない
2 人がその品性、徳行、名声、信用などについて社会から受けるべき客観的な社会的評価が低下させられた場合だけでなく、人が自己自身に対して与えている主観的な名誉感情が侵害された場合にも、名誉毀損による不法行為が成立し損害賠償の方法として原状回復も認められる
3 宗教上の理由から輸血拒否の意思表示を明確にしている患者に対して、輸血以外に救命手段がない場合には輸血することがある旨を医療機関が説明しないで手術を行い輸血してしまったときでも、患者が宗教上の信念に基づいて当該手術を受けるか否かを意思決定する権利はそもそも人格権の一内容として法的に保護に値するものではないので不法行為は成立しない
4 医師の過失により医療水準に適った医療行為が行われず患者が死亡した場合において、医療行為と患者の死亡との間の因果関係が証明されなくても、医療水準に適った医療行為が行われていたならば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性の存在が証明されるときは不法行為が成立する
5 交通事故の被害者が後遺症のため身体的機能の一部を喪失した場合、その後遺症の程度が軽微であって被害者の現在または将来における収入の減少が認められないときでも、労働能力の一部喪失を理由とする財産上の損害が認められる
遺言に関し正しい組み合わせはどれ
ア 15歳に達した者は、遺言をすることが出来るが遺言の証人または立会人となることはできない
イ 自筆証書によって遺言をするには、遺言者がその全文、日付および氏名を自書してこれに押印しなければならず、遺言を変更する場合には、変更の場所を指示し、変更内容を付記して署名するか、または変更の場所に押印しなければ効力を生じない
ウ 公正証書によって遺言をするには、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授(くじゅ)しなければならないが、遺言者が障害等により口頭で述べることが出来ない場合には、公証人の質問に対してうなずくこと、または首を左右に振る事等の動作で口授があったものとみなす
エ 秘密証書によって遺言をするには、遺言者が、証書に署名、押印した上、その証書を証書に用いた印章により封印し、公証人一人及び証人二人以上の面前で、当該封書が自己の遺言書である旨ならびにその筆者の氏名および住所を申述する必要があるが、証書は自書によらず、ワープロ等の機械により作成されたものであってもよい
オ 成年被後見人は、事理弁識能力を欠いている場合には遺言をすることができないが、一時的に事理弁識能力を回復した場合には遺言をすることができ、その場合、法定代理人または3親等内の親族二人の立ち合いのもとで遺言書を作成しなければならない
AのBに対する甲債権につき消滅時効が完成した場合における時効の援用権者に関し誤りの組み合わせはどれ
ア Aが甲債権の担保としてC所有の不動産に抵当権を有している場合、物上保証人Cは、Aに対して債務を負っていないが、甲債権が消滅すれば同不動産の処分を免れる地位にあるため、甲債権につき消滅時効を援用することが出来る
イ 甲債権のために保証人となったDは、甲債権が消滅すればAに対し負っている債務を免れる地位にあるため、甲債権につき消滅時効を援用することが出来る
ウ Bの詐害行為によってB所有の不動産を取得したEは、甲債権が消滅すればAによる詐害行為取消権の行使を免れる地位にあるが、このような利益は反射的なものにすぎないため、甲債権につき消滅時効を援用することが出来ない
エ Aが甲債権の担保としてB所有の不動産に抵当権を有している場合、Aの後順位抵当権者Fは、Aの抵当権の被担保債権の消滅により直接利益を受ける者に該当しないため、甲債権につき消滅時効を援用することが出来ない
オ Aが甲債権の担保としてB所有の不動産に抵当権を有している場合、同不動産をBから取得したGは、甲債権が消滅すれば抵当権の負担を免れる地位にあるが、このような利益は反射的なものにすぎないため、甲債権につき消滅時効を援用することが出来ない
Aが所有する甲土地につき、Aの長男BがAに無断で同人の代理人と称してCに売却した(本件売買契約)この場合で妥当でないのはどれ
1 Aが死亡してBが単独相続した場合、Bは本人の資格に基づいて本件売買契約につき追認を拒絶することが出来ない
2 Bが死亡してAの妻DがAと共に共同相続した後、Aも死亡してDが相続するに至った場合、Dは本人の資格で無権代理行為の追認を拒絶する余地はない
3 Aが本件売買契約につき追認を拒絶した後に死亡してBが単独相続した場合、Bは本件売買契約の追認を拒絶することが出来ないため、本件売買契約は有効となる
4 Bが死亡してAが相続した場合、Aは本人の資格において本件売買契約の追認を拒絶することが出来るが、無権代理人の責任を免れる事は出来ない
5 Aが死亡してBがAの妻Dと共に共同相続した場合、Dの追認がなければ本件売買契約は有効とならず、Bの相続分に相当する部分においても当然に有効となるものではない
A・BおよびCが甲土地を共有し、甲土地上には乙建物が存在している。この場合に関し、正しい組み合わせはどれか
ア DがA、BおよびCに無断で甲土地上に乙建物を建てて甲土地を占有使用している場合、Aは、Dに対し、単独で建物の収去および土地の明渡ならびに土地の占拠により生じた損害全額の賠償を求めることが出来る
イ Eが、A、BおよびCが共有する乙建物をAの承諾の元に賃借して居住し、甲土地を占有使用する場合、BおよびCは、Eに対し当然には乙建物の明渡を請求することはできない
ウ Fが賃借権に基づいて甲土地上に乙建物を建てた場合においてA、BおよびCが甲土地の分割協議を行うとするときは、Fに対して分割協議を行う旨を通知しなければならず、通知をしないときは、A、BおよびCの間でなされた分割の合意は、Fに対抗することができない
エ Aが乙建物を所有し居住している場合において、AがBおよびCに対して甲土地の分割請求をしたときは、甲土地をAに単独所有させ、Aが、BおよびCに対して持分に相当する価格の賠償を支払う、いわゆる全面的価格賠償の方法によって分割しなければならない
オ A、BおよびCが乙建物を共有する場合において、Aが死亡して相続人が存在しないときは、Aの甲土地および乙建物の持分はBおよびCに帰属する
不動産先取特権に関し誤りはどれ
1 不動産の保存の先取特権は、保存行為を完了後、直ちに登記をしたときはその効力が保存され、同一不動産上に登記された既存の抵当権に優先する
2 不動産工事の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額についてのみ存在する
3 不動産売買の先取特権は、売買契約と同時に、不動産の代価またはその利息の弁済がされていない旨を登記した時でも、同一不動産上に登記された既存の抵当権に優先しない
4 債権者が不動産先取特権の登記をした後、債権者がその不動産を第三者に売却した場合、不動産先取特権者は、当該第三取得者に対して先取特権を行使することが出来る
5 同一の不動産について不動産保存の先取特権と不動産工事の先取特権が互いに競合する場合、各先取特権者は、その債権額の割合に応じて弁済を受ける
Aは債権者Bのため、A所有の甲土地に、被担保債権の範囲をA・B間の継続的売買に係る売掛代金債権とし、その極度額を1億円とする根抵当権を設定した。この場合で誤りはどれ
1 元本確定前に、A・Bは協議により被担保債権の範囲にA・B間の金銭消費貸借取引に係る債権を加えることで合意した。A・Bがこの合意を後順位抵当権者であるCに対抗するためには、被担保債権の範囲の変更についてCの承諾が必要である
2 元本確定前に、BがAに対して有する継続的売買契約に係る売掛代金債権をDに対して譲渡した場合、Dはその債権について甲土地に対する根抵当権を行使する事は出来ない
3 元本確定前においては、Bは甲土地に対する根抵当権をAの承諾を得てEに譲渡すことが出来る
4 元本が確定し、被担保債権額が6000万円となった場合、AはBに対して甲土地に対する根抵当権の極度額1億円を、6000万円と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することが出来る
5 元本が確定し、被担保債権額が1億2000万円となった場合、甲土地について地上権を取得したFは、Bに対して1億円を払い渡して根抵当権の消滅を請求する事ができる
債権者代位権または詐害行為取消権に関し正しいのはどれ
1 債権者は、債権の弁済期前であっても、債務者の未登記の権利について登記の申請をすることについて、裁判所の許可を得た場合に限り代位行使することが出来る
2 債権者は、債務者に属する物権的請求権のような請求権だけでなく、債務者に属する取消権や解除権のような形成権についても代位行使することができる
3 債権者は、債務者に属する権利を、債権者自身の権利として行使するのでなく、債務者の代理人として行使することができる
4 甲不動産がAからB、BからCへと譲渡され、AからBへの譲渡がAの債権者Dとの関係で詐害行為となる場合において、Bがそのことにつき善意で、Cがそのことにつき悪意である場合、債権者はCに対して詐害行為取消請求をすることができる
5 詐害行為取消権の立証責任に関しては、債務者の悪意と同様に、受益者および転得者側の悪意についても債権者側にある