耳で覚える!行政書士 民法2
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問1

制限行為能力者に関する記述で、民法の規定、判例に照らし誤りはどれ

1 未成年者について親権を行う者が管理権を有しない時は後見が開始する

2 保佐人は民法が定める被保佐人の一定の行為について同意見を有するほか、家庭裁判所が被保佐人に代理権を付与する旨の審判をしたときには特定の法律行為の代理権も有する

3 家庭裁判所は被補助人の特定の法律行為につき補助人の同意を有する旨の審判、および補助人に代理権を付与する旨の審判をすることが出来る

4 被保佐人が保佐人の同意を要する行為をその同意を得ずに行った場合、相手方が被保佐人に対して一定期間内に保佐人の追認を得るべき旨の催告をしたがその期間内に回答がなかったときは、当該行為を追認したものと擬制される

5 制限行為能力者が相手方に制限行為能力者であることを黙秘して法律行為を行った場合であっても、それが他の言動と相まって相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときは詐術にあたる

1の正解はここ
4
「当該行為を追認したものと擬制される」が誤りです。「取り消したものとみなす」が正しいです。

問2

占有改定等に関する記述のうち、民法の規定、判例に照らし妥当でない組み合わせはどれ

ア 即時取得が成立する為には占有の取得が必要であるが、この占有の取得には、外観上従来の占有事実の状態に変更を来たさない占有改定による占有の取得は含まれない

イ 留置権が成立する為には他人の物を占有することが必要であるが、この占有には債務者を占有代理人とした占有は含まれない

ウ 先取特権の目的動産が売買契約に基づいて第三取得者に引き渡されると、その後は先取特権を当該動産に対して行使できないこととなるが、この引き渡しには現実の移転を伴わない占有改定による引き渡しは含まれない

エ 質権が成立するためには目的物の引き渡しが必要であるが、この引き渡しには設定者を以後、質権者の代理人として占有させる占有改定による引き渡しは含まれない

オ 動産の譲渡担保権を第三者に対抗するためには目的物の引き渡しが必要であるが、この引渡しには公示性の乏しい占有改定による引き渡しは含まれない

1 ア・イ 2 ア・ウ 3 イ・エ 4 ウ・オ 5 エ・オ

2の正解はここ
4
ウ:先取特権は、占有改定による引き渡しも含まれます。
オ:譲渡担保権の対抗は、占有改定による引き渡しも含まれます。

問3

根抵当権に関し正しいのはどれか

1 被担保債権の範囲は確定した元本および元本確定後の利息その他の定期金の2年分である

2 元本確定前において被担保債権の範囲を変更することが出来るが、後順位抵当権者その他第三者の承諾を得たうえでその旨の登記をしなければ変更がなかったものとみなされる

3 元本確定期日は、当事者の合意のみで変更後の期日を5年以内の期日とする限りで変更することが出来るが、変更前の期日より前に変更の登記をしなければ変更前の期日に元本が確定する

4 元本確定前に根抵当権を行使することができないが、元本確定前に被担保債務の免責的債務引き受けがあった場合、根抵当権者は引受人の債務についてその根抵当権を行使することが出来る

5 根抵当権設定者は、元本確定後においては根抵当権の極度額の一切の減額を請求する事は出来ない

3の正解はここ
3
1:「被担保債権の範囲は確定した元本及び利息その他定期金の2年分」が誤り。極度額の範囲であれば元本及び元本確定後の利息その他の定期金の全額を担保します。
2:変更の登記には後順位抵当権者や第三者の承諾は必要ありません。
4:元本確定前は債務引受があったときも根抵当権を行使できません。
5:元本確定後は、根抵当権設定者はその根抵当権の極度額を現に存する債務額と以後2年間生ずべき利息その他定期金および債務不履行による損害賠償の額を加えた額に減額することを請求できます

問4

A・B間でAがBに対し、Aの所有する甲建物または乙建物のうちいずれかを売買する旨の契約が締結された。この場合で正しいのはどれ

1 給付の目的を甲建物とするか乙建物とするかについての選択権はA・B間に特約がない場合にはBに帰属する

2 A・B間の特約によってAが選択権者となった場合、Aには給付の目的物として甲建物を選択する旨の意思表示をBに対してした後であってもBの承諾を得ることなく、その意思表示を撤回して乙建物を選択することが出来る

3 A・B間の特約によってAが選択権者となった場合、Aの過失によって甲建物が焼失したためその給付が不能となった時は給付目的物は乙建物となる

4 A・B間の特約によって第三者Cが選択権者となった場合において、Cの選択権行使は、AおよびB両者に対する意思表示によってしなければならない

5 A・B間の特約によって第三者Cが選択権者となった場合、Cが選択をすることが出来ない時は選択権はBに移転する

4の正解はここ
3
「選択債権における債務者とは、給付する義務を負う側の事をいいます。」
1:特約が無ければ選択権は債務者に帰属します
2:選択権の行使の意思表示は相手方の承諾を得なければ撤回できないとなります
4:第三者が選択をすべき場合、債務者または債権者に対する意思表示で行いますので、AとB両方にする必要はありません
5:第三者が選択できない場合、選択権は債務者に移転します。

問5

AはBに対して金銭債務(以下甲債務)を負っていたが、甲債務をCが引き受ける場合(以下本件債務引受)に関する記述で誤りはどれか

1 本件債務引受について、BとCとの契約によって併存的債務引受とすることができる

2 本件債務引受について、AとCとの契約によって併存的債務引受とすることが出来、この場合BがCに対して承諾をした時にその効力が生ずる

3 本件債務引受についてBとCとの契約によって免責的債務引受とすることができ、この場合において、BがAに対してその契約をした旨を通知した時にその効力が生ずる

4 本件債務引受について、AとCが契約をし、BがCに対して承諾する事によって免責的債務引受とすることができる

5 本件債務引受については、それが免責的債務引受である場合にはCはAに対して当然に求償権を取得する

5の正解はここ
5
免責的債務引受の場合、Cの返済は「他者の債務の返済」ではなく「自分の債務の返済」という事になるのでAに対して求償権は取得しません

問6

同時履行の抗弁権に関し妥当なものはどれ

1 双務契約が一方当事者の詐欺を理由として取り消された場合においては詐欺を行った当事者は、当時者双方の原状回復義務の履行につき、同時履行の抗弁権を行使する事ができない

2 家屋の賃貸借が終了し、賃貸人が造作買取請求権を有する場合においては、賃貸人が造作代金を提供するまで賃借人は家屋の明け渡しを拒むことができる

3 家屋の賃貸借が終了し、賃借人が敷金返還請求権を有する場合においては、賃貸人が敷金を提供するまで賃借人は家屋の明け渡しを拒むことが出来る

4 請負契約においては仕事完成義務と報酬支払い義務とが同時履行の関係に立つため、物の引渡しを要する場合であっても特約がない限り、仕事を完成させた請負人は、目的物の引渡しに先立って報酬の支払いを求めることが出来、注文者はこれを拒むことが出来ない。

5 売買契約の買主は、売主から履行の提供があってもその提供が継続されない限り、同時履行の抗弁権を失わない

6の正解はここ
5
一度履行の提供があったからといって、それが継続されない限りは同時履行の抗弁権を失いません。

問7

A所有の甲土地をBに対して建物所有の目的で賃貸する旨の賃貸借契約(以下本件賃貸借契約)が締結され、Bが甲土地上に乙建物を建築して建物所有権保存登記をした後AがCに甲土地を売却した。この場合で妥当でないのはどれか

1 本件賃貸借契約における賃貸人の地位は別段の合意がない限りAからCに移転する

2 乙建物の所有権保存登記がBと同居する妻Dの名義であっても、BはCに対して甲土地の賃借権をもって対抗することが出来る

3 Cは甲土地について所有権移転登記を備えなければBに対して本件賃貸借契約に基づく賃料の支払い請求することが出来ない

4 本件賃貸借契約においてAからCに賃貸人の地位が移転した場合、Bが乙建物について賃貸人の負担に属する必要費を支出した時は、BがCに対して直ちにその償還を請求することが出来る

5 本件賃貸借契約の締結にあたりBがAに対して敷金を交付していた場合において、本件賃貸借契約が期間満了によって終了した時は、Bは甲土地を明け渡した後にCに対し上記の敷金の返還を求めることが出来る

7の正解はここ
2
地上建物を所有するものは自己の名義で登記した建物を有することによりはじめて貸借権を対抗できます。家族名義での保存登記は対抗要件として認められません。

問8

医療契約に基づく医師の患者に対する義務に関し妥当なものはどれか

1 過失の認定における医師の注意義務の基準は、診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準であるとされるが、この臨床医学の実践における医療水準は医療機関の特性等によって異なるべきでなく、全国一律に絶対的な基準として考えられる

2 医療水準は過失の認定における医師の注意義務の基準となるものであるから、平均的医師が現に行っている医療慣行とは必ずしも一致するものではなく、医師が医療慣行に従った医療行為を行ったからといって医療水準に従った注意義務を尽くしたと直ちにいうことはできない

3 医師は治療法について選択の機会を患者に与える必要があるとはいえ、医療水準として未確立の療法についてはその実施状況や当該患者の状況に関わらず説明義務を負う者ではない

4 医師は医療水準にかなう検査及び治療措置を自ら実施できない場合において、予後が一般に重篤で、予後の良否が早期治療に左右される何らかの重大で緊急性のある病気にかかっている可能性が高い事を認識できたときであっても、その病名を特定できない以上、患者を適切な医療機関に転送して適切な治療を受けさせるべき義務を負う者ではない

5 精神科医は、向精神薬を治療に用いる場合、その使用する薬の副作用についてはその薬の最新の添付文書を確認しなくても、当該医師の置かれた状況の下で情報を収集すれば足りる

8の正解はここ
2
1:医師の注意義務は、所在地域の環境の特性を考慮すべきで全ての医療機関に一律に解するのは相当ではないです。
3:常に説明義務を負うと解する事は出来ないが、少なくとも実践されていたり評価がある場合で患者が関心を示す場合は、医師の知っている範囲で当該療法の内容などを説明すべき義務があり、患者が療法について熟慮し判断する機会を与えるべき義務があります。
4:適切な対処が出来ない場合、予後が重篤であったり重大で緊急性のあるものと認識できた時は患者を転送し適切な治療をうけさせる義務があります
5:向精神薬についての最新の添付文書を確認し、可能な限り最新情報を収集する義務があります

問9

特別養子制度に関して正しい組み合わせはどれ

ア 特別養子は実父母と養父母の間の合意を家庭裁判所に届け出ることで成立する

イ 特別養子縁組において養親となる者は配偶者のある者であって夫婦いずれもが20歳以上であり、かつそのいずれかは25歳以上でなければならない

ウ すべての特別養子縁組の成立には、特別養子となる者の同意が要件であり、同意のない特別養子縁組は認められない

エ 特別養子縁組が成立した場合、実父母及びその血族との親族関係は原則終了とし、特別養子は実父母の相続人となる資格を失う

オ 特別養子縁組の解消は原則認められないが養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由がある場合、または実父母が相当の監護をすることができる場合には裁判所が離縁の審判を下すことが出来る

1 ア・ウ
2 ア・オ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・オ

9の正解はここ
4 イ・エ
ア:特別養子縁組の成立には家庭裁判所の審判が必要です。届け出だけでは成立しません
ウ:養子となる者が15歳に達している場合は同意が必要です。全てではありません。
オ:虐待などがあり、かつ、実父母が相当の監護が出来る場合に離縁させることが出来ます。いずれかではありません。

問10

時効の援用に関し妥当でない組み合わせはどれ?

ア 時効による債権の消滅効果は、時効期間の経過とともに確定的に生ずるのではなく時効が採用されたときにはじめて確定的に生ずるものである

イ 時効の援用を裁判上行使する場合には事実審の口頭弁論終結時までにする必要がある

ウ 被相続人の占有により取得時効が完成していた場合に、その共同相続人の一人は自己の相続分の限度においてのみ取得時効を援用する事ができる

エ 保証人や連帯保証人は主たる債務の消滅時効を援用する事は出来るが、物上保証人や抵当不動産の第三取得者は、被担保債権の消滅時効を援用する事は出来ない

オ 主たる債務者である破産者が免責許可決定を受けた場合であっても、その保証人は自己の保証債務を免れるためには、免責許可決定を受けた破産者の主たる債務について消滅時効を援用しなければならない

10の正解はここ
エ・オが誤り。
エ:物上保証人や抵当不動産の第三取得者も被担保債権の消滅時効を援用できます。
オ:保証人は自己の保証債務を免れるために消滅時効は援用できません。