1 強制捜査と任意捜査

強制処分(強制捜査)

197条1項 強制処分(強制捜査)

強制処分は裁判官の発布する令状が必要
個人の意思を制圧し①(国家の干渉を受けることなく独自に意思決定する自由)
憲法の保障する重要な法的利益を侵害するもの②
→物理的な実力行使と人に義務を負わせるもの
厳格な要件と手続きによって行われる。

個人の意思の制圧

・合理的に推認される個人の意思に反する場合には①の要件を満たす
・同意があれば強制ではなくなる

憲法の保障する重要な法的利益を侵害するもの②

・身体、住居、財産など

・憲法35条 住居・書類・所持品に限らずこれらに準ずる私的領域

人に義務を負わせるもの

任意処分(任意捜査)

任意処分(任意捜査)

強制捜査にあたらないもの
制約される権利利益や保護されるべき公共の利益などと捜査の緊急性・必要性を比較衡量し、相当と認められる限度で許容される

2 捜索差押検証

令状による~(強制処分)

令状による捜索差押え検証 218条

捜索は強制捜査・強制処分になるので裁判官の許可状が必要。(原則)220条、事前の令状による逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕の際、必要があれば令状なしでの捜索が認められる

令状によらない捜索差押え検証220条

令状によらない捜索差押え検証 220条

検察官、警察職員は逮捕・現行犯逮捕する場合において必要がある時は逮捕の現場で差押え捜索検証をすることができる
①【相当説】逮捕する場合、現場には被疑事実に係る証拠などが存在する蓋然性が高いから令状審査の必要がなく、合理的な証拠収集手段と認められる。憲法35条正当な理由が認められる。
②【緊急処分説】逮捕者の身体の安全を図る必要があり、また、被逮捕者による証拠隠滅の恐れが高く、これを防止し証拠を保全する緊急の必要があるから。

必要がある時

・逮捕の理由となっている被疑事実に関する証拠物や没収すべき物に限られる。逮捕を口実として一般的探索的な捜索差押えが行われないようにするため。

逮捕の現場

・場所的同一性を意味する。

・逮捕現場の状況ではその場で直ちに捜索差押えができなければ、被疑者を最寄りに場所に連行して処分することも認められる。被逮捕者の身体は証拠物の存在する蓋然性が高いから、逮捕の現場を離れてもなしえる。

①では、逮捕の場所と同一の管理権が及ぶ空間的範囲と解する。

・被告人以外の者の身体・物又は住居その他の場所については押収すべき物の存在を認めるに足りる状況のある場合に限り捜索できる。

捜査機関による押収捜索差押検証

裁判官による場合は113条【当事者による立会】があるが、捜査機関による場合は113条は準用されず【当事者】は立ち会うことはできない。

3 検証・鑑定

鑑定人と鑑定受託者

それぞれの違い

裁判所により鑑定を命じられる者:鑑定人
捜査機関から鑑定を嘱託された者:鑑定受託者
・宣誓の有無
・辞任の仕方
・身体検査請求

鑑定人

裁判所により鑑定を命じられる者:鑑定人
法律により宣誓が必要。
鑑定命令により選定されるため、自らの意思で辞任はできない
裁判官による身体検査を請求できる

鑑定受託者

捜査機関から鑑定を嘱託された者:鑑定受託者
宣誓はいらない
嘱託を受けることも辞任することも自由
裁判官に対し身体検査請求ができない